キックボクシングジム造作譲渡契約書の記入例と安全な進め方

キックボクシングジム造作譲渡契約書の記入例と安全な進め方

キックボクシングジムの造作譲渡は、設備を安く引き継げる一方、貸主承諾や故障、リース品の確認を欠くと開業後の負担が増えます。契約書の作り方と点検手順を整理します。

1. キックボクシングジムの造作譲渡契約書を読む前に

造作譲渡契約書は、前借主が設置・購入した内装や設備の所有権を、新しい借主へ移す契約書です。居抜き物件は設備が残った状態を指し、残っている物がすべて譲渡されるわけではありません。

一方、賃貸借契約は店舗を使用する権利、賃料、敷金、用途、原状回復を定めます。会員、屋号、スタッフ、営業権まで移す場合は、設備売買ではなく事業譲渡の検討が必要です。

【文脈】キックボクシングジムの居抜き取得では 1-1. 造作譲渡契約書と賃貸借契約の役割を分ける

造作譲渡契約書は、サンドバッグ、リング、床マット、鏡、空調などの譲渡物と価格を定めます。賃貸借契約は、店舗を使える期間や賃料、営業時間、騒音、退去時の原状回復を定める契約です。

造作譲渡契約だけでは営業場所を使えず、賃貸借契約だけでは前借主の設備を取得できません。通常は、貸主の承諾と新しい賃貸借契約の成立を確認してから、譲渡契約の支払いと引き渡しへ進みます。

1-2. 居抜き物件でも引き継げない設備を確認する

現地に残る物は、譲渡対象、貸主所有、共用設備、撤去予定品、第三者所有品に分けて確認します。建物と一体化した内装や、貸主が設置した空調、共用部の設備は、前借主が勝手に売却できません。

譲渡項目書には「譲渡する物」「譲渡しない物」「貸主所有」「リース品」を分けて記載します。「設備一式」のような表現は、数量や付属品の解釈が分かれるため避けます。

1-3. 貸主承諾と新賃貸借契約を先に確認する

貸主や管理会社には、造作譲渡の可否、契約者変更、新規契約、用途、営業時間、騒音、防振工事、看板、シャワーの残置を確認します。承諾は口頭ではなく、メールや書面で取得してください。

承諾が得られない場合に備え、契約書には「貸主の書面承諾と新賃貸借契約の成立を条件とする」と記載します。承諾期限、申請費用、審査不通過時の手付金返還も併記します。

1-4. 開業前に事業譲渡との違いを切り分ける

造作譲渡は、原則として設備や内装の売買です。会員契約、屋号、スタッフ、SNS、予約システム、売上債権、指導ノウハウまで引き継ぐなら、事業譲渡に該当する可能性があります。

契約前に「引き継ぐもの」「引き継がないもの」を一覧化します。会員情報やスタッフの扱いには個別の同意や雇用手続きが関係するため、設備の目録だけで済ませないことが重要です。

2. キックボクシングジム造作譲渡契約書の記入例

契約書本文には、当事者、物件、譲渡価格、支払方法、引渡し日、責任範囲を記載します。設備が多いジムでは、詳細を別紙の「譲渡項目書」にまとめ、契約書から参照する構成が実務的です。

記入例としては、「譲渡人は譲受人に対し、別紙目録記載の造作物を、金○○円で譲渡する」とします。目録にはメーカー、型式、数量、設置場所、状態、写真番号を記載します。

2-1. サンドバッグやリングを所有権付きで列挙する

「サンドバッグ一式」ではなく、本体、吊り金具、チェーン、固定金具を分けて記載します。リングも本体、ロープ、支柱、床固定部、コーナーパッドを分け、数量と設置場所を明らかにします。

  • サンドバッグ:3個、メーカー・型式、打撃面の破れ、吊り金具を含む

  • リング:1基、メーカー・型式、ロープの伸び、床固定の状態

  • ミット・ラック:各数量、メーカー、破損や欠品の有無

付属品の漏れは、引渡し後の「含まれると思っていた」という争いにつながります。写真と照合し、所有権が買い手へ移る範囲を明示します。

2-2. マットや防音設備の範囲を写真で特定する

床マット、防振材、防音壁、天井材、鏡、照明は、建物と一体化している場合があります。撤去する物、残置する物、貸主へ帰属する物を分け、賃貸借契約の特約とも一致させます。

写真には番号、撮影日、設置場所を付けます。例えば「写真12、2026年8月20日撮影、リング西側の床マット」と書けば、傷や浮きの状態を後から確認できます。

2-3. 譲渡価格と支払期日を設備単位で明記する

総額だけでなく、リング、空調、マット、受付など設備単位の評価を記載すると、不要品を除外しやすくなります。消費税の扱い、手付金、残金、振込手数料、支払期日も明記します。

交渉では、不要設備を目録から外して価格を再計算します。無償譲渡でも、処分費や撤去費を買い手が負担するなら、実質的な負担として価格に反映させます。

2-4. 引渡し日と確認済みの設備状態を固定する

引渡し日には、鍵、設備、付属品、残置物、清掃状態を確認します。動作確認の結果を引渡し確認書に記載し、写真を添付して双方が署名します。

現状有姿とする場合でも、売り手が把握している故障は隠せません。空調停止、給湯不良、マット破損などを目録に書き、修理負担と契約不適合責任の扱いを定めます。

3. 契約前に行う設備点検と譲渡価格の試算

買い手は、契約前に設備の状態と開業までの追加費用を確認します。点検対象は、格闘技設備だけでなく、防音、床、空調、シャワー、電気容量、排水まで含めます。

点検は「見る」「動かす」「記録する」の3段階で行います。営業時と同じ動作を再現し、問題があれば修繕費、交換時期、撤去費を見積もりに加えます。

【文脈】キックボクシングジムの居抜き取得前に行う設備点検の順序を示す 3-1. サンドバッグとリングの固定部を実地確認する

サンドバッグは本体だけでなく、吊り金具、梁や天井の固定部、ボルトの緩みを確認します。リングは床固定、支柱、ロープ、マットの浮きや破れを点検します。

目視後に軽い試用を行い、揺れ、異音、沈みを確認します。固定部の写真を撮り、補強工事や再設置が必要なら、譲渡価格から差し引く費用として整理します。

3-2. 防音性能と床材の劣化を営業条件から調べる

ミット打ち、ジャンプ、ステップを想定し、床の沈み、継ぎ目、振動を確認します。壁や天井への音の伝わり方も、可能であれば営業時間帯に試します。

過去の騒音苦情、管理規約、営業時間制限、防音工事の承認条件を貸主へ照会します。設備が使えても、営業条件に合わなければ居抜きの価値は下がります。

3-3. 空調とシャワーの漏水を営業時間帯に点検する

空調は冷暖房、異音、風量、ドレン排水、換気を確認します。シャワーは給湯温度、排水、床や壁の漏水跡、カビ、臭気を点検します。

漏水は使用直後ではなく、一定時間後に表れることがあります。通水前後の写真とメーターの状態を記録し、営業開始後に発覚しやすい不具合を先に把握します。

3-4. 修繕費と撤去費を差し引いて価格を再計算する

判断する金額は、譲渡料だけではありません。故障修理、不要設備の処分、床や防音の補修、再設置、専門検査の費用を加えた「開業までの総額」で比較します。

例えば、譲渡料が安くても、古い空調や不要な防音壁の撤去費が大きければ負担は逆転します。設備の残存価値ではなく、営業開始までに必要な現金を基準にします。

4. 故障設備とリース品を契約条項で切り分ける

故障設備、リース品、不要品は、譲渡対象と別に扱う必要があります。契約書と目録を「譲渡する物」「除外する物」「条件付きの物」に分けると、責任の境界が明確になります。

原状回復も、造作譲渡契約だけで決まりません。貸主との賃貸借契約にある撤去義務や残置承諾を確認し、売り手と買い手の負担を三者間で整合させます。

4-1. 既知の故障と現状有姿の範囲を明文化する

空調停止、給湯不良、マット破損、リングの傷などは、設備ごとに目録へ記載します。「使用可能」「一部不良」「動作未確認」のように状態を具体化します。

現状有姿、修理負担、引渡し後の通知期限を別々に定めます。現状有姿と書いたからといって、売り手が知りながら隠した不具合まで当然に免責されるとは限りません。

4-2. リース・割賦購入設備を譲渡対象から外す

空調、給湯器、複合機、トレーニングマシンなどにリースや割賦購入がないか確認します。所有権が売り手にない設備は、所有者の承諾なしに譲渡できません。

契約番号、所有者、残債、契約期間、承継可否を確認します。承継できない場合は売り手が撤去し、承継する場合はリース会社の審査と名義変更を完了させてから目録へ反映します。

4-3. 不要な什器や故障品を目録から除外する

買い手が使わない受付、古いロッカー、故障した機器は、除外一覧に記載します。撤去・処分の期限、費用負担、残置された場合の処理方法も決めます。

「無償で渡す」と書かれた物も、受け取れば処分責任を負う可能性があります。無償譲渡ではなく、譲渡対象外として売り手が撤去する方が明確な場合もあります。

4-4. 原状回復義務と設備撤去の責任を分担する

床材、防音壁、看板、シャワー、配管は、退去時に撤去するのか残置できるのかを貸主へ確認します。シャワーは本体、間仕切り、防水、給排水で扱いが分かれる場合があります。

売り手の退去責任を、買い手へ当然に移せるわけではありません。貸主の書面承諾、新賃貸借契約、造作譲渡契約の3つに同じ撤去・残置条件を記載します。

5. 貸主承諾から解除まで安全に契約を進める手順

安全な順序は、現地調査、貸主への承諾申請、賃貸借契約の審査、造作譲渡契約、支払い、引渡しです。譲渡契約を先に確定し、後から貸主へ相談する進め方は避けます。

手付金を支払う場合は、承諾不成立や重大な設備不具合が判明したときの扱いを先に決めます。契約の効力、返還期限、違約金を一つずつ書面化します。

【文脈】造作譲渡を安全に進めるため 5-1. 貸主承諾を条件に譲渡契約の効力を発生させる

契約書には、貸主の書面承諾と新しい賃貸借契約の成立を停止条件または解除条件として記載します。承諾取得の期限、申請者、審査費用、用途審査の責任者も定めます。

特にキックボクシングジムは、振動や音、営業時間が審査項目になりやすい業態です。防音仕様や近隣対応の説明資料を準備し、口頭承諾だけで進めないことが重要です。

5-2. 手付金返還とキャンセル条件を具体的に決める

貸主承諾が得られない場合、設備調査で重大な不具合が判明した場合、当事者都合で撤回する場合を分けて記載します。それぞれについて、手付金返還、違約金、損害賠償の範囲を定めます。

「協議する」だけでは、実際に問題が起きた際の基準になりません。返還期限、振込手数料の負担、解除通知の方法を具体化し、メールでも合意記録を残します。

5-3. 印紙代と消費税を契約金額から確認する

紙の契約書は、内容によって課税文書に該当し、印紙代が必要になる場合があります。印紙の負担者、契約書の通数、電子契約を利用するかを事前に確認します。

設備譲渡の消費税は、当事者の属性や取引内容で扱いが変わります。個人事業主や法人の帳簿処理、固定資産計上は、契約前に税理士へ確認してください。

5-4. 引渡し確認書で鍵と設備状態を確定する

引渡し当日は、鍵、設備、付属品、写真、メーター、清掃状態、残置物を一覧で確認します。未確認の設備は「動作未確認」と記載し、残金支払いを保留する条件も検討します。

不具合がある場合は、修理完了を引渡し条件にするか、修理費を代金から控除します。確認書は契約書の別紙として双方が署名し、写真とともに保管します。

6. キックボクシングジム造作譲渡契約書のよくある質問 6-1. 造作譲渡契約書は個人間でも使えるのか

個人間でも契約は可能ですが、当事者情報、譲渡物、価格、支払日、状態、貸主承諾、責任範囲を明記することが重要です。高額設備や争点がある場合は、弁護士や専門家に確認します。

6-2. 貸主の承諾が下りないと手付金は戻るのか

手付金の返還は、契約条項によって異なります。貸主承諾を条件とし、承諾不成立時の返還期限と違約金の有無を明記してください。口頭合意だけでは証明が困難です。

6-3. 引渡し後に空調やシャワーが壊れた場合は誰が負担するのか

故障の発生時期、契約書の状態記載、売り手の認識、責任期間、修理費負担で判断します。現状有姿の記載だけで、売り手の責任が一律に消えるわけではありません。

6-4. リース中のサンドバッグや空調は引き継げるのか

リース会社や所有者の承諾なしには引き継げない場合があります。契約番号、残債、名義変更審査、撤去条件を確認し、承継できない設備は譲渡目録から除外します。

7. おすすめ商品: キックボクシングジム居抜き譲渡・売却サービスの特徴と選び方

売り手が原状回復費や設備処分費を抑えたい場合は、キックボクシングジム居抜き譲渡・売却サービスが選択肢になります。閉店前に設備・内装・造作を整理し、次の事業者へ引き継ぐ可能性を検討できます。

サンドバッグ、リング、マット、受付、ロッカー、看板に加え、会員導線やスタッフ体制も整理対象です。一般的なM&Aと異なり、賃貸借契約の確認、貸主承諾、造作譲渡契約の進行まで扱う点が特徴です。

オンライン面談、秘密厳守、初回相談無料で、小規模・1店舗から相談できます。会員やスタッフの引継ぎ、周知のタイミング、説明順序も検討できるため、設備だけを売る場合との違いを比較できます。

料金は初回相談・着手金無料、成約時の成功報酬は譲渡価格の20%で、最低成功報酬は50万円です。

8. まとめ

キックボクシングジムの造作譲渡契約書では、譲渡対象、所有権、価格、状態、支払日、引渡し日を具体化します。サンドバッグやリングだけでなく、固定金具、マット、防音、シャワーまで設備単位で確認します。

居抜き物件を取得する前に、貸主承諾と新しい賃貸借契約の成立を確認し、修繕費や撤去費を含めて価格を再計算します。最後に、目録と写真を使った引渡し確認を行い、必要に応じて専門家へ相談してください。

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編集者の紹介

日下部 興靖

株式会社M&A PMI AGENT

代表取締役  日下部 興靖

上場企業のグループ会社の取締役を4社経験。M&A・PMI業務・経営再建業務などを10年経験し、多くの企業の業績改善を行ったM&A・PMI・居抜き譲渡の専門家。

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