M&Aで株主が反対したらどうなる?スクイーズアウトの仕組みと対策

M&Aで株主が反対したらどうなる?スクイーズアウトの仕組みと対策

M&Aが実施される際、少数株主の権利や意見はどのように扱われるのでしょうか?この記事では、M&Aに対して株主が反対した場合に生じる流れや少数株主を強制的に退出させる「スクイーズアウト」の仕組み、そして反対株主が取りうる具体的な対応策について詳しく解説します。

また、スクイーズアウトの背後にある法律や実務的なポイントも解説し、株主や経営者にとって有益な知識を提供します。結論として、反対株主には法的な手続きや権利が保障されており、公正な価格で株式を売却するための方法が複数用意されています。

損失を回避するためには、法律や実務の基本を理解した上で適切な行動を取ることが重要です。本記事を読むことで、M&Aと株主の関係を深く理解し、状況に応じた最善措置を検討するための実践的な知識を得ることができます。

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編集者の紹介

日下部 興靖

株式会社M&A PMI AGENT
代表取締役 日下部 興靖

上場企業のグループ会社の取締役を4社経験。M&A・PMI業務・経営再建業務などを10年経験し、多くの企業の業績改善を行ったM&A・PMIの専門家。3か月の経営支援にて期首予算比で売上1.8倍、利益5倍などの実績を持つ。



1. M&Aにおける株主の立場と権利
1.1 M&Aにおける株主が果たす役割

株主は企業の所有者であり、出資者としての立場から様々な権利を持っています。その中には、企業の運営や重要事項に対する意見を述べる権利を含みます。特に、企業がM&A(合併・買収)に関する意思決定を行う場面では、株主総会での投票や発言によってプロセスの成否に多大な影響を与えることがあります。

M&Aにおける株主の権利として注目されるのは、議決権を通じた意思表明、条件面での異議申し立て、そして必要に応じて訴訟を提起する権利など、多岐にわたります。こうした権利を適切に行使することで、株主は自身の利益を守るだけでなく、企業価値や株価の形成に寄与することもできます。

例えば、ある企業が競争力を強化するために他社との合併を図った場合、一部の株主が取引条件を巡って反対意見を持つことがあります。このような状況では、少数派である株主の声が無視されず、企業や裁判所などに法的な異議申し立てが可能な法制度が整備されています。


1.2 反対株主が影響を与える場面とは

M&Aが進行する中で、反対株主が与える影響は軽視できません。特に、数パーセント規模の少数株主であっても、その反対行動が大きな影響を与える場合があります。

反対株主が影響を与える具体例には、以下のようなケースが挙げられます。

株主総会での反対票による議案の否決。
取引の公平性や手続きに異議を唱え、法廷で取引の差し止めを求める。
M&Aの買収価格が公正ではないとして、独自に買取請求を行う。

例えば、ある企業が上場企業を買収する際に、支配株主が他の一般株主よりも高い価格で自らの株を売却しようとしていたとします。このような不公正な条件に対して反対株主が訴訟を提起し、それを受けた裁判所の介入によって買収条件が改善された事例も報告されています。

また、株主の反対によって取引が長引く場合、企業にとってはM&Aの実現可能性が低下するだけでなく、結果として取引コストの増大や関係者間の信頼低下を招くリスクがあります。このような背景から、企業側としては反対株主の意見も重要視し、事前に誠実に対応することが求められます。


1.3 少数株主の権利を守る法的仕組み

日本における少数株主保護の法的制度は、少数派株主が対等な立場で権利を行使できるよう設計されています。M&Aにおいて、不公正な扱いを受けるリスクがある場合に、以下のような権利を通じて少数株主を守ることが可能です。

権利名称 詳細内容
差止請求権 M&Aが不公正な条件で実行される場合、株主はその取引を差し止めるよう裁判所に求める権利があります。例えば、独立した第三者による株価算定が行われないまま取引を進めている場合に、株主がこの権利を行使することがあります。
買取請求権 反対株主が、不公正だと考えた場合や会社施策に不満を持つ場合に、適正な価格で自身の株を買い取らせる権利です。裁判所が絡む場合、公正価値を専門家の意見を基に評価して決定します。
支配株主に対する責任追及 株主が支配株主の行為によって不利益を受けた場合に、その責任を追及する権利です。例えば、少数株主にとって不利な条件での取引が行われた場合などに起訴の根拠とすることが可能です。

これらの権利行使には、時間やコストがかかるため、慎重な判断が必要となります。一例として、買収した上場企業における少数株主が買取請求を行った際に、株価算定が裁判所で認められるまでに1年以上の期間がかかったケースがあります。こうした現実を踏まえ、株主が事前に弁護士や金融コンサルタントに相談することが推奨されています。

日本の会社法はこれらの権利を保護し、株主が自らの利益を守れる仕組みを提供しています。企業側も少数株主への対応を視野に入れ、円滑なM&Aを進めるための準備が求められます。

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2. 株主が反対する理由とその背景
2.1 M&A反対の主な理由

M&Aに対して株主が反対する理由は、多くのケースで利害の不一致や経済的な懸念に起因します。主な理由として以下の項目が挙げられます。

主な理由 具体例
事業方針や価値観の不一致 買収先会社の経営方針が株主の利益や価値観と対立する場合。例えば、環境重視の経営を好む株主が、環境基準の低い企業が対象となった場合。
株式価値の不十分な評価 M&Aで提示された株価が市場価格または適正価格よりも低い場合。不当な評価だと考えた株主が反発することがある。
情報開示の不十分さ 取引の目的や統合後の計画が明確でない場合。株主が安心して投資継続できる判断材料が不足している。

これらの課題を解決するためには、M&Aの過程で株主に対して十分な説明責任を果たし、信頼関係を構築することが求められます。


2.2 反対株主が懸念するポイント

反対株主にとってM&Aにはさまざまな懸念がつきまといます。これらの懸念が放置された場合、株主間の不満が高じてさらなる対立を生む可能性があります。以下に主要な懸念点を整理します。

主な懸念ポイント 具体的な影響
少数株主の利益の侵害 親会社がM&A後に議決権を集中させることで、少数株主の意見が反映されなくなる懸念。特に議決権比率が95%以上になる場合、スクイーズアウトが容易に実行可能になる。
配当金や株価への影響 買収資金が多額である場合、企業利益が圧迫され、配当の削減や自社株価の下落につながる恐れがある。
統合プロセスの不透明性 買収後の具体的な統合計画が共有されない場合、運営上の混乱やシナジー効果が得られないリスクがある。

2.3 M&Aの目的と株主の利益が衝突するケース

M&Aの目的について、経営陣と株主の利益が一致しない場合、反対意見が強まる傾向があります。このようなケースでは企業内部での対立が顕在化することもあります。

2.3.1 赤字企業の買収リスク

買収対象が長期間赤字を計上している場合や大量の負債を抱えている場合、統合後に親会社の収益が圧迫されるリスクがあります。具体例として、過去の国内重大M&A案件では、統合後に親会社の株価が下落した事例も報告されています。このような状況は株主利益の減少に直結するため、反対の理由として強く挙げられます。

2.3.2 情報不足による不信感

統合効果やM&Aの経済合理性が株主に十分説明されていない場合、経営側への不信感が高まります。たとえば、ある買収対象企業の収益モデルが大きなリスクを抱えていた場合、それを事前に詳しく説明しないことで不透明さが批判される可能性があります。

2.3.3 企業価値の希薄化

統合が適切に行われない場合、既存企業の価値が下がる懸念もあります。特に、期待されていたシナジーが実現しない場合、株主価値が希薄化する可能性があります。これには、事業効率の向上や市場拡大といった計画が十分に実行されない場合が含まれます。

以上のような問題を防ぐためには、経営陣が株主に対し透明性を持った情報開示を実施し、合理的で説得力のある説明を行うことが重要です。また、必要に応じて株主構成やM&Aの影響を数値で示し、株主が納得できる形での説明を心がけるべきです。


3. スクイーズアウトの基本的な仕組み
3.1 スクイーズアウトとは何か

スクイーズアウトとは、主に大株主が少数株主の株式を強制的に取得し、その企業の全ての株式を支配する仕組みを指します。この手法は、日本の会社法に基づいて行われ、企業の経営効率化や迅速な意思決定を目的とする場合に採用されることが多いです。

特に、M&A(企業の合併・買収)が行われる際には、スクイーズアウトが重要な手法として検討されるケースがあり、新たな経営体制を迅速に構築するために用いられることがあります。反面、少数株主の権利を軽視したり、不当な価格での株式取得が問題となる場合もあるため、公正な仕組みの元で行われることが法的に求められています。

こうしたプロセスは、企業規模や形態によって異なり、その選択肢も多岐にわたります。以下では具体的なスクイーズアウトの手法を解説します。


3.2 一般的なスクイーズアウトの手法

スクイーズアウトは、主に会社法で規定された複数の手法を用いて行われます。以下に挙げる各方法は、それぞれ異なる特徴と手続きを持ち、組織の状況に応じて最適なものが選択されます。

3.2.1 株式の全部取得条項付き種類株式

「全部取得条項付き種類株式(ぜんぶしゅとくじょうこうつきしゅるいかぶしき)」とは、会社が特定種類の株式を強制的に取得できる条項を組み込んだものです。この方法では、以下のプロセスを経て少数株主の排除を実現します。

会社定款を変更して「全部取得条項付き種類株式」を発行する。
株主総会で特別決議を経て、この種類株式を取得、現金等で株主に対価を支払う。

この方法は、比較的確実に少数株主を排除する手段として利用されます。ただし定款の変更とそれに伴う株主総会での決議など、多くのプロセスを踏む必要があり、時間やコストがかかることがあるため注意が必要です。

3.2.2 株式併合によるスクイーズアウト

株式併合(かぶしきへいごう)は、一定数の株式を1株にまとめることで、少数株主の権利を排除する手法です。たとえば、「10株を1株に併合」する場合、現時点で10株未満の株主は「端株(はかぶ)」と呼ばれる扱いとなり、法律上の手続きに基づいてその株式が会社に買い取られることになります。

株式併合の主な流れは以下のようになります。

手続き 概要
株主総会で併合案を承認 特別決議が必要であり、全既存株主の合意を得る必要があります。
株主の株式保有割合変更 併合比率に応じて少数株主の株式が消失し、現金での対価が支払われます。

株式併合は非常にシンプルな手法ですが、不公平な買収価格や裁判所の審査を求められるリスクがあるため、公正性の確保が求められます。

3.2.3 特別支配株主の株式売渡請求

特別支配株主の株式売渡請求(かぶしきうりわたしせいきゅう)は、会社法179条に基づく「90%超の議決権を持つ株主(特別支配株主)」が、他の全株主に対して株式の売却を一方的に請求できる仕組みです。

この方法では、特別支配株主が以下の条件を満たす必要があります。

議決権の90%以上を保持していること。
取得価格が公正に算定されており、公平性を証明可能であること。

また、他の株主が取得価格について異議を唱えた場合には、裁判所が価格の適正性を判断することになります。したがって、スムーズに進行するケースもあれば、訴訟リスクを抱える場合もあるため慎重な実行が求められます。

3.2.4 株式交換によるスクイーズアウト

株式交換(かぶしきこうかん)は、親会社が子会社を完全子会社化する際に利用されるスキームの一つです。この手法では、少数株主の持つ株式を企業の現金や株式と交換し、その後に株式併合を行うことが一般的です。

以下のフローが通常の流れとなります。

株式交換に基づき少数株主の株式権利を親会社の株式または現金に変更。
当該親会社が懸念される株価調整を行い、適正な対価で権利移譲を実現。

この方法はM&Aプロセスにおいて比較的柔軟性が高く活用されますが、対価設定の透明性が疑問視された場合に裁判所への審査を求められることがあります。


3.3 スクイーズアウトが行われる理由

スクイーズアウトが企業で使われる主な理由は次の通りです。

経営の効率化少数株主の意思・意向を排除することで迅速な意思決定が可能になる。
完全子会社化の促進M&A後のグループ経営を効率化し、経営権を確保しやすくする。
資本構成のシンプル化株主配当や議決手続きを簡略化できる。

しかし、これらの背景の中には必ず少数株主の利益保護が含まれるべきであり、企業として法的な公正性を確実に担保する必要があります。


4. 株主がスクイーズアウトに反対した場合の流れ
4.1 スクイーズアウトにおける株主総会と反対権

スクイーズアウトは、企業が少数株主の株式を強制的に取得する仕組みであり、多くの場合、株主総会を通じて決議が行われます。具体的には「株式併合」や「全部取得条項付種類株式」の導入が必要となるケースで、特別決議が求められます。この特別決議を通じて株式を強制的に取得する際には、株主の3分の2以上の承認が必要です。

少数株主は、株主総会において自分の意見を表明する権利を有します。例えば、議決権を持つ株主として質問や意見表明をすることが可能です。しかし、反対票を投じたとしても、通常、大株主が過半数以上の議決権を保有しているため、結果に大きな影響を与える可能性は低いのが現実です。

それでも、少数株主の反対票や意見表明は手続きの透明性と公正性を担保する上で重要であり、不当な決定が行われた場合にその記録が証拠として活用されることもあります。


4.2 反対株主が取れる具体的な行動

スクイーズアウトに反対する少数株主は、法律上いくつかの具体的な行動を取ることが認められています。これらの行動によって、自身の権利を守るための主張を明確に伝えることが可能です。

4.2.1 差止請求権を活用する方法

スクイーズアウトの手続きが法的に不適切、または違法とみなされる場合、少数株主は裁判所に対して「差止請求権」を行使することができます。

差止請求権の条件 具体例
手続きに不備がある場合 株主総会が必要な手続きを省略した
株式の価格が不当である場合 市場価値より著しく低い金額で買い取ろうとした

差止請求権を行使するためには、速やかに弁護士に相談し、手続きの不備に関する証拠を揃えることが肝要です。例えば、議事録の内容や通知手続きに関する不備を指摘できる資料を準備する必要があります。これらの主張が認められれば、差止め請求が通り、スクイーズアウトの実施が止まる可能性があります。

4.2.2 買取請求権で公正な価格を求めるには

スクイーズアウトによって少数株主の株式が強制的に取得される場合、会社に対して公正な価格で株式を買い取るよう求める「買取請求権」を行使することができます。買取請求権は、少数株主がスクイーズアウトによって著しい不利益を被ることを防ぐための重要な権利です。

買取価格を公正なものにするため、裁判所は企業価値を適正に評価するプロセスを行います。この際、以下のような点が重要な評価基準となります。

評価基準 具体的な内容
企業の純資産価値 貸借対照表上の純資産額
類似企業の株価動向 同業種の市場価格を参考にする
事業の将来性や成長性 経営計画や収益性の分析

裁判所で適正価格が提示された場合でも、その金額に納得がいかない場合には、さらなる交渉や異議申し立てを検討する必要があります。こうした手続きが長期化する可能性があるため、専門的なアドバイスを受けつつ対応すべきです。


4.3 裁判所による価格決定と法律の関与

スクイーズアウトにおける最大の焦点は、「裁判所による価格決定」です。裁判所は会社法に基づき、株主の利益を保護する観点から、提示された買い取り価格が適正であるか厳密に判断します。

価格決定の際、以下のような資料やデータが重視されます。

企業の過去の財務諸表
市場価値や取引先企業の経済状況
専門家による評価レポート

裁判所の判断には時間がかかることがあり、数ヶ月から1年以上の期間を要する場合もあります。そのため、少数株主は事前にどのような資料を準備すべきか、またどれほどのコストがかかるかを把握しておくことが肝要です。

さらに、司法判断の透明性が欠如している場合や、不当な価格決定が行われた場合には、上級裁判所への控訴などの対応も可能です。


5. 反対株主が考慮すべき重要なポイント
5.1 企業価値の適正評価とその基準

M&Aやスクイーズアウトにおいて、企業価値の評価が公正であるかどうかを確認することは、反対株主にとって非常に重要なポイントです。ここでは、企業価値算定に関する一般的な基準や方法を理解し、その結果が妥当かどうかを判断するために必要な知識を詳しく解説します。

まず、企業価値の評価手法には、以下のような一般的な方法があります。

評価手法 概要 考慮すべき点
DCF法(ディスカウント・キャッシュ・フロー法) 将来キャッシュフローを割り引いて現在価値を算定。 将来予測が過度に楽観的か、保守的になっていないか確認。
類似会社比較法(マーケットアプローチ) 同業他社の市場価値を基に算出。 選定される比較対象企業が適切であるかを確認。
純資産価値法 会社の資産と負債の差額で評価。 帳簿上の価値だけでなく、現状の市場価値との開きに注意。

例えば、DCF法で使用される将来キャッシュフローの予測は、事業計画や経済環境に大きな影響を受けます。そのため、予測数値が現実的であるかどうか、また割引率としてどのような基準が設定されているかを専門的に検証する必要があります。これらの評価手法がどのように用いられたのかについて、開示情報を徹底的に確認し、必要に応じて弁護士やファイナンシャルアドバイザーに実務的な助言を求めるのが望ましいです。

さらに、株式を売却する際の買取価格が、企業価値評価の基準と一致しているかを確認することも重要です。特に、株式買取請求権を行使した場合には、裁判による価格決定を主張する準備が求められることから、客観的な企業価値の評価を理解しておくことが欠かせません。

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5.2 法的費用や時間のコストを把握する

スクイーズアウトに反対する株主にとって、法的手段に要するコストや時間を正確に把握することも重要です。具体的にどのような費用や期間が生じるのかを整理し、それらを負担する準備ができているかを検討する必要があります。

法的費用には、弁護士への相談費用や裁判における着手金、成功報酬などが含まれます。具体的な金額はケースバイケースですが、費用相場としては以下の例があります。

項目 具体例
弁護士相談料 1時間あたり1万円~3万円程度。
裁判の着手金 50万円~100万円程度。
裁判にかかる追加費用 案件の複雑さにより増額する可能性あり。

また、裁判を通じて価格決定を求める場合、審理が長期化する可能性もあります。通常、裁判所による価格決定までには数カ月から1年程度かかることがあるため、その間に事業や個人生活に与える影響も十分に考慮しなければなりません。

さらに、法的手続きには精神的な負担も伴うことを覚悟しておくべきです。反対株主がこれらの要素を早い段階で十分に検討し、費用対効果を測る視点を持つことが重要といえます。

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5.3 弁護士や専門家への相談の必要性

M&Aやスクイーズアウトに関する案件では、弁護士や税理士、ファイナンシャルアドバイザーなどの専門家のサポートを受けることが不可欠です。これらの専門家は、関連する法律や実務に精通しており、反対株主が直面する課題やリスクを軽減するための具体策を提供します。

例えば、以下の対応を専門家がサポートしてくれます。

項目 専門家の対応内容 メリット
法律面の助言 差止請求権や買取請求権に関するアドバイス。 手続きの円滑化と正当な権利の保護。
企業価値の精査 評価基準や価格算定結果の検証。 公正な買取価格の主張が可能。
裁判資料の準備 必要な書類の作成や戦略的な立案。 裁判の進行に必要な準備が整う。

専門家への早期の相談は、スクイーズアウトにおける交渉を有利に進めるだけでなく、最善の結論を得るための鍵となります。そのため、交渉初期段階から積極的に専門知識を活用し、計画的に対応を進めることが推奨されます。

弁護士や専門家は反対株主の代弁者として、株式の適正価格を求める議論や、企業の評価基準への異議申し立てを代行してくれます。これにより、手続きがより効率的になり、最終的な利益の確保に寄与することが期待できます。

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6. まとめ

M&Aにおいて株主が反対する場合、スクイーズアウトという仕組みが採用されることが多く、その際には少数株主の権利と企業価値評価が重要なポイントとなります。反対株主は差止請求権や買取請求権を活用し、公正な価格を求めることができますが、法的手続きには時間や費用がかかるため、専門家の助けを得ることが推奨されます。

また、スクイーズアウトの目的は企業統合や事業効率化であり、必ずしも株主にとって不利な結果になるわけではありません。こじれを避けるためにも、弁護士や公認会計士などの専門家に相談し、公正な評価と交渉を重ねることが重要です。株主としての権利を守ると同時に、長期的な視野を持った判断が求められます。

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