スモールM&Aの費用|会社を売却する際にかかるコストとは?

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公開日:2024年11月26日最終更新日:2026年8月9日
スモールM&Aの費用は、仲介手数料だけでは決まりません。税金、専門家報酬、契約実費まで差し引いた「最終手取り額」で売却条件を比較することが重要です。
1. スモールM&Aで会社売却にかかる費用の全体像売り手側の費用は、仲介会社への報酬、弁護士・税理士などの専門家報酬、税金、契約や登記に伴う実費に分けられます。買い手側には、買収対価、デューデリジェンス費用、仲介手数料、融資・登記関連費用などが発生します。
売却価格が3,000万円でも、最低報酬が2,000万円なら、成功報酬だけで売却価格の約66.7%になります。したがって、価格ではなく手数料と税金を控除した金額を先に試算する必要があります。
時期 | 主な費用 | 支払先 |
|---|---|---|
相談前後 | 相談料、企業価値評価費用 | 仲介会社、会計士など |
契約開始時 | 着手金、実費 | 仲介会社、専門家 |
交渉中 | リテイナーフィー、中間報酬 | 仲介会社 |
調査・契約時 | デューデリジェンス、契約書確認 | 弁護士、税理士など |
成約時・申告時 | 成功報酬、税金、登記費用 | 仲介会社、税務署など |
1-1. 相談料から成功報酬まで支払う時期と相手
支払時期と返金条件は、仲介会社ごとに異なります。特に中間報酬は、基本合意後に不成立となっても返金されない契約があるため、金額だけでなく発生条件を確認します。
費用 | 時期 | 相手・確認点 |
|---|---|---|
相談料 | 初回相談時 | 仲介会社。無料〜1万円 |
着手金 | 業務委託契約時 | 仲介会社。返金条件を確認 |
リテイナーフィー | 契約期間中 | 仲介会社。月額制 |
中間報酬 | 基本合意時 | 成功報酬の最大20%など |
成功報酬 | 最終契約・クロージング時 | 仲介会社。基準額と最低報酬を確認 |
専門家報酬は、仲介手数料に含まれる場合と別請求の場合があります。株価算定は数十万円から、契約書の作成・確認は30万〜50万円程度、税務相談は10万〜30万円程度が目安として紹介されています。
弁護士には秘密保持契約書や株式譲渡契約書の確認、税理士には取得費・譲渡費用・課税関係の整理を依頼します。登記、財務資料の整理、株主総会資料の作成も別費用になる場合があります。
1-3. 売り手と買い手で異なるM&A費用の負担範囲一般に、売り手は仲介手数料、売却益に対する税金、契約書確認費用、株券発行費などを負担します。買い手は買収対価、財務・法務・税務などのデューデリジェンス費用、融資手数料、取得した資産の登記費用を負担します。
ただし、仲介手数料を双方が負担するか、デューデリジェンスを売り手が一部負担するかは契約次第です。費用項目ごとに「誰が、いつ、いくら払うか」を書面化してください。
1-4. 不成立でも返金されない費用と契約上の注意点着手金、リテイナーフィー、中間報酬、専門家への実費は、M&Aが不成立でも返金されないことがあります。基本合意は最終契約ではないため、その後に交渉が破談となる可能性も残ります。
契約前には、返金の有無、途中解約料、専任条項、テール条項、候補先への直接交渉の制限を確認します。見積書ではなく、最終的な業務委託契約書の条文を基準に判断してください。
2. 会社売却価格から逆算する最終手取り額の試算方法手取り額は、次の式で概算できます。譲渡価格から仲介手数料、専門家報酬、実費、売り手にかかる税金を差し引きます。
手取り額=譲渡価格−仲介手数料−専門家報酬−実費−税金です。税金は株式譲渡か事業譲渡か、株主が個人か法人かで変わるため、単純に売却価格へ税率を掛けない点が重要です。
譲渡価格と成功報酬の基準額を確認する
最低報酬と着手金・中間報酬を加える
弁護士、税理士、株価算定などの費用を加える
株式譲渡または事業譲渡の税金を試算する
入金時期と支払時期の差を確認する
例えば、成約時に成功報酬を支払う契約でも、税金は後日納付します。売却代金を全額自由に使える資金と考えず、納税資金を別口座に確保する管理が安全です。
2-1. 譲渡額3000万円・5000万円・1億円の手取り比較以下は、個人株主による株式譲渡、成功報酬5%、専門家・実費50万円、取得費0円、税率20.315%という単純化した試算です。実際の税額は取得費や譲渡費用、他の所得などで変動します。
譲渡価格 | 成功報酬 | 税金概算 | 専門家・実費 | 手取り概算 |
|---|---|---|---|---|
3,000万円 | 150万円 | 約579万円 | 50万円 | 約2,221万円 |
5,000万円 | 250万円 | 約965万円 | 50万円 | 約3,735万円 |
1億円 | 500万円 | 約1,930万円 | 50万円 | 約7,520万円 |
この表には最低報酬を含めていません。最低報酬が500万円なら、3,000万円の案件では成功報酬が500万円に置き換わり、手取りはさらに350万円減少します。
2-2. 株式価値・企業価値・移動総資産の手数料比較成功報酬の基準額には、株式価値、企業価値、移動総資産があります。株式価値1億円、有利子負債5,000万円、その他の負債5,000万円なら、企業価値は1億5,000万円、移動総資産は2億円です。
基準 | 基準額 | 5%の場合 |
|---|---|---|
株式価値 | 1億円 | 500万円 |
企業価値 | 1億5,000万円 | 750万円 |
移動総資産 | 2億円 | 1,000万円 |
同じ会社、同じ料率でも、基準額によって500万円の差が生じます。契約書に「株価」「企業価値」「移動総資産」のどれを採用するか明記されているか確認してください。
2-3. 最低報酬が小規模案件の手取りを圧迫する仕組み最低報酬とは、レーマン方式で計算した金額が低くても支払う最低限の成功報酬です。最低報酬2,000万円の会社で譲渡価格3,000万円なら、税金控除前でも売却価格の約66.7%を占めます。
完全成功報酬型でも最低報酬が設定されている場合があります。「着手金無料」だけで判断せず、譲渡価格ごとの総額を比較します。損益分岐点は、料率計算額と最低報酬が一致する価格です。
2-4. レーマン方式の料率区分と成功報酬の計算例一般的な料率は、5億円以下の部分が5%、5億円超〜10億円以下が4%、10億円超〜50億円以下が3%、50億円超〜100億円以下が2%、100億円超が1%です。
基準額が20億円なら、5億円×5%、5億円×4%、10億円×3%を合計し、成功報酬は7,500万円です。料率を全額に一律適用する方式もあるため、段階計算かどうかを確認します。
3. 株式譲渡と事業譲渡で変わる税金と売り手負担
株式譲渡は株主が株式を売却し、会社の経営権を移す方法です。事業譲渡は会社が事業や資産を個別に売却する方法で、税金だけでなく契約移転や許認可の手続きも増えやすくなります。
会社全体を引き継いでもらうなら株式譲渡、不要な事業や負債を切り離して譲渡したいなら事業譲渡が候補になります。手取りと実務負担を同時に比較することが必要です。
項目 | 株式譲渡 | 事業譲渡 |
|---|---|---|
課税対象 | 株主の譲渡益 | 会社の譲渡益 |
主な税金 | 個人株主は20.315% | 法人税等、課税資産の消費税 |
契約移転 | 原則として会社契約を維持 | 個別に承諾・移転が必要 |
許認可 | 維持される場合がある | 取り直しが必要な場合がある |
個人株主が株式を売却した場合、譲渡価格から株式の取得費と譲渡費用を差し引いた譲渡所得に、所得税・復興特別所得税・住民税を合わせて20.315%が課されます。
法人株主の場合は、譲渡益が法人の所得に合算され、法人税等の対象になります。取得費が不明な場合や、仲介手数料を譲渡費用に含める範囲は、申告前に税理士へ確認してください。
3-2. 事業譲渡で生じる法人課税と消費税の論点事業譲渡では、売却価格と譲渡対象資産の簿価との差額が、売り手法人の法人税等の計算対象になります。税率は会社の所得や所在地などで変わるため、一律の税率で確定させることはできません。
棚卸資産、営業権、無形固定資産、土地以外の有形固定資産などは、消費税の課税対象になり得ます。土地、売掛金、株式などは扱いが異なるため、資産明細を分けて税理士に確認します。
3-3. 税金以外にスキーム選択で増減する売り手負担事業譲渡では、取引先との契約、賃貸借契約、従業員の雇用、許認可を個別に引き継ぐ必要があります。承諾取得が遅れると、専門家報酬や交渉期間中の月額費用も増えます。
株式譲渡は契約移転の負担を抑えやすい一方、会社が抱える簿外債務や訴訟リスクも引き継がれます。税額だけでなく、引継ぎ対象とリスクの範囲で選択します。
3-4. 税引後手取りを基準にスキームを選ぶ判断手順まず株式譲渡と事業譲渡の譲渡価格を同じ基準で算定します。次に税金、仲介手数料、契約移転費用、許認可対応費用、専門家報酬を一覧化します。
最後に、売却後に会社へ残る資金と、オーナー個人が受け取る資金を分けて比較します。税引後手取りが高くても、承諾取得や従業員対応の負担が過大なら、別のスキームが適する場合があります。
4. 仲介会社の料金体系を比較して費用を抑える方法料金体系は、着手金型、完全成功報酬型、月額報酬型、最低報酬型に大別できます。売却の成立可能性と案件規模を踏まえ、支払総額と資金繰りの両方で比較してください。
体系 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
着手金型 | 契約時に初期費用 | 不成立でも返金されない場合 |
完全成功報酬型 | 成約時に報酬発生 | 最低報酬や実費は別の場合 |
月額報酬型 | 契約期間中に毎月支払い | 長期化すると総額が増える |
最低報酬型 | 一定額を下限として請求 | 小規模案件ほど負担率が高い |
着手金100万円、成功報酬500万円の会社と、着手金無料、成功報酬600万円の会社を比較すると、成約時だけなら前者が有利です。しかし不成立の可能性が高い場合は、初期支出がない後者の方が資金リスクを抑えられます。
成立確率を考える場合は、期待費用を「不成立時の費用+成立時の総費用×成立確率」で試算します。実際には成立確率を正確に置けないため、複数のケースで比較します。
4-2. マッチングサイトと仲介会社の費用差を比較するマッチングサイトは、利用料や成約手数料を抑えられる場合があります。一方、候補先探し、資料作成、条件交渉、契約書確認を自社で進める工程が増えます。
経営者が買い手候補と直接交渉できるなら、プラットフォーム型が適する可能性があります。法務・税務・財務の判断が必要な段階では、仲介会社や士業を部分的に起用する方法もあります。
4-3. 契約前に確認する成功報酬の基準と追加費用次の項目を見積書と契約書で確認します。
成功報酬の基準が株式価値、企業価値、移動総資産のどれか
料率が段階式か一律式か
最低報酬、消費税、実費、月額報酬の有無
着手金、中間報酬、契約解除料、テール条項
専任契約の期間と途中解約の条件
特にテール条項は、契約終了後に一定期間内の成約が報酬対象となる条項です。対象期間、紹介先の範囲、報酬発生条件を明確にします。
4-4. デューデリジェンス範囲を調整する費用管理デューデリジェンスは財務、税務、法務、労務、IT、事業などの調査です。費用は数十万円から数百万円程度と幅があり、会社規模や調査範囲で変動します。
すべてを一律に削るのではなく、許認可、未払税金、訴訟、簿外債務など重大リスクを優先します。売り手は資料を整理して調査時間を短縮し、買い手はリスクに応じて調査範囲を設計します。
5. 補助金と公的支援を使った専門家費用の軽減策M&Aや事業承継では、専門家活用費用の一部を補助する制度が公募されることがあります。代表例として、事業承継・引継ぎ補助金の専門家活用枠があり、売り手支援類型では専門家費用が対象になり得ます。
ただし、補助率、上限額、対象者、対象経費、公募回ごとの要件は変更されます。制度名だけで判断せず、必ず当該公募の募集要領と公式情報を確認してください。
5-1. 売り手が補助対象になり得る費用の確認方法募集要領で、第一に申請者が売り手企業に該当するかを確認します。次に、仲介費用、FA費用、企業価値評価、弁護士・税理士報酬が対象経費に含まれるかを確認します。
申請期限、登録された専門家の利用要件、対象となるM&Aの時期も重要です。地方自治体の事業承継支援制度は地域によって異なるため、所在地の窓口も調べます。
5-2. 補助金適用後の実質的な専門家費用を計算する専門家報酬が100万円で、補助対象額がその2分の1なら、最終的な実質負担は50万円です。ただし、補助金は後払いの場合があるため、契約時に100万円を支払う資金が必要です。
補助対象外の消費税や上限超過分も自己負担になります。採択されない場合を含め、全額を自己資金で支払える資金計画を作成してください。
5-3. 申請前の契約や着手が対象外になるリスク交付決定前の契約、発注、着手、支払いが対象外となる制度があります。申請前に仲介契約を締結した結果、専門家費用全体が補助対象外になるケースも考えられます。
対象期間、支払い証憑、相見積もり、実績報告の要件を確認します。仲介会社へ先に依頼するのではなく、補助金の窓口と専門家に順序を確認してください。
5-4. 公的相談窓口と民間仲介を使い分ける基準公的な事業承継支援機関は、初期相談や制度案内に適しています。金融機関は資金調達や取引先情報、民間仲介会社は候補先探索や交渉、士業は税務・法務の専門判断を担います。
無料相談では、費用の全体像と必要資料を整理します。買い手候補への打診、契約交渉、税務申告まで必要になった段階で、有料支援の範囲と費用を比較してください。
6. よくある質問(FAQ)
6-1. 会社売却の費用は売却代金から支払えますか
成功報酬は、最終契約やクロージング後に支払う契約が多く、売却代金から支払える場合があります。ただし、着手金、中間報酬、月額報酬、専門家費用は入金前に必要なことがあるため、運転資金とは別に準備します。
6-2. 赤字会社でも最低報酬は発生しますか発生する契約があります。最低報酬は利益や黒字・赤字ではなく、譲渡価格や契約条件にかかわらず設定されることがあるため、赤字会社でも適用されます。見積もり時に最低報酬と計算基準を確認してください。
6-3. M&Aが不成立なら支払った費用は戻りますか費用ごとに異なります。相談料、着手金、月額報酬、中間報酬、専門家の実費は返金されない契約が一般的です。返金条件、不成立時の支払額、途中解約料を契約前に確認します。
6-4. 株式譲渡と事業譲渡はどちらが安くなりますか一概には決められません。株式譲渡は契約移転の負担を抑えやすい一方、会社のリスクを引き継ぎます。事業譲渡は対象を絞れますが、消費税、契約移転、許認可、従業員対応の費用が増える場合があります。
7. おすすめ商品: 手取りを重視するならM&A PMI AGENTの特徴と選び方手取り額を基準に仲介会社を比較したい場合は、手取りを重視するならM&A PMI AGENTが選択肢になります。売却価格から仲介手数料、税金、実費、引継ぎ条件を差し引き、最終的な手取り額を整理できる点が特徴です。
初回相談、着手金、中間金が無料で、最低報酬は500万円〜です。譲渡価格5,000万円の比較例では、最低報酬2,000万円との差額が最大1,500万円になるため、小規模案件ほど料金体系の違いを確認する意味があります。
他社から提案書や見積りを受け取った場合も、仲介契約前であれば、手数料、最低報酬、成功報酬の計算方法、テール条項、買い手探索方針を比較できます。オンライン面談中心で、買い手候補への打診から条件交渉、デューデリジェンス、最終契約、クロージングまで支援します。
8. まとめスモールM&Aの費用は、仲介手数料、成功報酬、税金、専門家報酬、実費を合算して考えます。特に最低報酬と成功報酬の基準額が、譲渡価格に対する負担率を大きく左右します。
株式譲渡と事業譲渡は、税金だけでなく契約移転、許認可、従業員対応まで比較してください。まずは譲渡価格、想定手数料、税金、専門家報酬を一覧化し、複数の仲介会社から総額見積もりを取得します。
契約前には、返金条件、最低報酬、テール条項、専任期間、追加費用を確認します。補助金を利用する場合も採択を前提にせず、全額を負担できる資金計画を用意することが重要です。


