会社売却の税金対策|1億円・3億円・5億円の手取り試算

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公開日:2024年10月28日最終更新日:2026年8月14日
会社売却の手取りは、売却価格だけで決まりません。株式譲渡か事業譲渡か、売主が個人か法人かで税率と納税者が変わるため、契約前の試算が重要です。
1. 会社売却時に講じる税金対策と課税区分会社売却の税金は、まず「売却方法」「売主属性」「課税対象」の3項目で整理すると判断しやすくなります。
売却方法 | 売主 | 主な課税対象 | 税率・課税方式の目安 |
|---|---|---|---|
株式譲渡 | 個人株主 | 株式の譲渡所得 | 20.315%の申告分離課税 |
株式譲渡 | 法人株主 | 株式の譲渡益を含む法人所得 | 法人税等約30〜40%の概算 |
事業譲渡 | 法人 | 事業の譲渡益、課税資産 | 法人税等、消費税など |
自己株式取得 | 個人・法人 | 譲渡所得またはみなし配当 | 株主属性と資本金等の額で変動 |
個人株主の株式譲渡は、他の所得と分けて計算します。一方、法人株主や事業譲渡では、会社の本業損益や繰越欠損金も税額に影響します。
1-1. 株式譲渡と事業譲渡で異なる課税対象
株式譲渡では、株主が株式を買い手へ売却し、株主が売却代金を受け取ります。会社の契約や許認可は原則として会社に残ります。
事業譲渡では、会社が資産、負債、契約、のれんなどを選別して売却します。個別移転が必要で、法人税等に加えて課税資産への消費税が発生します。
1-2. 個人株主に課される譲渡所得税の計算個人株主の譲渡所得は、次の式で計算します。
譲渡所得=売却価格−取得費−譲渡費用
税率は所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%の合計20.315%です。適用年度や株式の区分は、申告時点の国税庁資料で確認してください。
1-3. 法人株主の売却益にかかる法人税等法人株主の譲渡益は、売却価格から帳簿価額と譲渡費用を控除して求めます。売却益は本業の利益や損失と合算し、法人の課税所得に含めます。
法人税、法人住民税、法人事業税などを合算した実効税率は、所在地や所得規模で異なります。約30〜40%は試算用の目安であり、確定額ではありません。
1-4. 自己株式取得で生じるみなし配当課税発行会社が株主から自社株を買い取ると、対価のうち資本金等の額を超える部分が、みなし配当となる場合があります。第三者への株式譲渡とは課税構造が異なります。
個人では配当所得として総合課税となる可能性があります。法人では受取配当金や益金不算入の適用可否を確認し、株式譲渡部分と分けて処理します。
2. 会社の売却価格別に税金と手取り額を試算売却価格が同じでも、取得費、仲介手数料、売主属性、他の損益によって手取りは変わります。以下は個人株主の株式譲渡を前提にした概算です。
2-1. 譲渡益から取得費と仲介費用を差し引く株式譲渡の課税対象は、売却価格そのものではありません。取得費と、売却のために直接要した仲介手数料などの譲渡費用を控除した金額です。
取得費は設立時の出資額、購入代金、過去の譲渡契約書などで確認します。実額が不明な場合、個人株主は売却価格の5%を概算取得費とできる場合があります。
2-2. 一億円から五億円までの手取り比較表次の表は、取得費を売却価格の5%、仲介手数料を売却価格の5%、税率を20.315%とした単純試算です。実際の仲介料率や契約条件を示すものではありません。
売却価格 | 取得費 | 譲渡費用 | 譲渡所得 | 税額概算 | 手取り概算 |
|---|---|---|---|---|---|
1億円 | 500万円 | 500万円 | 9,000万円 | 約1,828万円 | 約7,672万円 |
3億円 | 1,500万円 | 1,500万円 | 2億7,000万円 | 約5,485万円 | 約2億5,515万円 |
5億円 | 2,500万円 | 2,500万円 | 4億5,000万円 | 約9,142万円 | 約4億2,858万円 |
この試算では、税額は譲渡所得に20.315%を掛けています。法人株主では他の損益や欠損金が加わり、事業譲渡では消費税や不動産関連税も別に確認します。
納税資金は売却代金から先に取り分けます。個人の場合、所得税の確定申告・納税は原則として売却年の翌年2月16日から3月15日まで、住民税はその後に納付します。
2-3. 事業譲渡で発生する法人税と消費税
事業譲渡では、譲渡会社の譲渡益が法人所得に加算され、法人税等の対象になります。譲渡益は、売却価格から譲渡資産と譲渡負債の差額などを控除して算定します。
建物、機械、棚卸資産、ソフトウェア、のれんは消費税の課税対象になり得ます。土地、有価証券、売掛金などは非課税または不課税として扱われるため、資産ごとの区分が必要です。
2-4. 印紙税や不動産取得税の追加負担を確認事業譲渡契約書は、記載金額などにより印紙税の対象になります。株式譲渡契約書は通常、株式の売買だけであれば印紙税の扱いが異なるため、文書の内容を確認します。
不動産を事業譲渡で移転すると、買い手側に不動産取得税や登録免許税が発生する場合があります。契約書では、税金や専門家費用を誰が負担するかも明記します。
3. 売却前に実行する会社の税金対策と否認リスク税金対策は、売却直前に形式だけ整えるのではなく、事業上の目的と実態を伴わせる必要があります。節税は適法な制度利用ですが、実態のない取引は税務上否認されます。
対策 | 主な効果 | 確認事項 |
|---|---|---|
役員退職金 | 会社の損金、個人の退職所得 | 退職の事実、金額の妥当性 |
会社分割 | 不要資産の切り分け | 適格要件、事業実態、時価 |
第三者割当増資 | 新株発行による資金調達 | 株価、引受条件、贈与認定 |
繰越欠損金 | 将来所得との相殺 | 支配関係変更などの制限 |
退任するオーナー経営者に役員退職金を支給すると、会社側では適正額が損金となり、個人側では退職所得控除などを利用できる場合があります。
退職所得は、勤続年数に応じた退職所得控除後の金額を基礎に、原則として2分の1を課税対象とします。ただし、退職の事実がなく、金額が過大なら否認されます。
株式譲渡だけで受け取る場合と、退職金と譲渡対価に分ける場合を比較します。株主総会などの決議、算定根拠、支給記録、退任後の職務を保存してください。
3-2. 会社分割で不要資産を切り分ける要件買い手が必要とする事業と、オーナーが保有したい収益不動産や投資資産を分ける方法として、会社分割を検討できます。譲渡対象を整理できる一方、手続きは複雑です。
適格組織再編に該当するには、支配関係、主要資産・負債の承継、従業員の承継、事業継続などの要件確認が必要です。実行順序と売却との一体性も税務専門家に確認します。
3-3. 第三者割当増資で株価と課税を検証第三者割当増資は、新株を特定の第三者に発行して資金を受け入れる方法です。既存株主の株式を売却しないため、株式譲渡益とは資金の流れが異なります。
発行価額が時価から著しく低いと、既存株主から新株引受人への贈与や、法人からの寄附などが問題になる可能性があります。株価算定書、取締役会・株主総会の決議、引受条件を整えます。
3-4. 繰越欠損金の引継ぎと税務否認の境界繰越欠損金は、要件を満たせば将来の課税所得と相殺できる場合があります。ただし、組織再編や支配関係の変動があると、利用制限が生じることがあります。
事業継続性や事業関連性を欠く買収、形式だけの増資、低額譲渡、実態のない退職金は、否認の典型例です。否認されると法人税等、源泉所得税、加算税などの追加負担につながります。
4. 会社売却前十二か月の税務対策スケジュール税金対策は、売却方針が固まる前から始めます。12か月前、6か月前、契約前、売却後に分けると、確認漏れを防げます。
4-1. 十二か月前に取得費と株主構成を整理
株券、出資記録、相続資料、過去の増資・譲渡契約書を集めます。取得費を説明できる資料がないと、概算取得費5%の検討が必要になります。
株主名簿、株式譲渡制限、担保設定、少数株主の所在も確認します。株主構成が不明なままでは、売却価格だけでなくクロージング時期も崩れます。
4-2. 六か月前に退職金と再編案を税務検証役員退職金、会社分割、第三者割当増資を候補にし、事業上の目的を整理します。税理士や公認会計士には、株価、決議、契約、資金移動をまとめて提示します。
対策の実行後すぐに売却する場合、当初から売却と一体だったと評価される可能性があります。実行時期だけでなく、取引の実態と合理性を検証してください。
4-3. 契約前に仲介費用とDD費用の扱いを確認M&A仲介手数料やデューデリジェンス費用は、株式譲渡と事業譲渡で損益との関係が変わります。請求書の名義、支払者、支払時期、業務内容を整理します。
株式売却のために直接要した費用として控除できるかは、個別判断が必要です。契約書と請求書を税理士に確認してから、手取りを計算します。
4-4. 売却後に住民税と納税資金を管理する売却代金を全額使わず、所得税と住民税の納付見込み額を別口座で管理します。住民税の納付時期は自治体からの通知で確認してください。
売却後に資産承継や運用を行う場合も、納税資金を除いた余剰資金で計画します。大口取引では、確定申告前に税額を再計算します。
5. 会社売却と税金対策でよくある質問 5-1. 会社を一億円で売却した税金と手取り個人株主が株式を1億円で売却し、取得費と譲渡費用を合計1,000万円とすると、譲渡所得は9,000万円です。20.315%を掛けた税額は約1,828万円、手取りは約7,672万円の概算です。
実際には、仲介手数料、取得費の実額、他の取引、契約条件で変動します。売却価格だけで税額を判断しないでください。
5-2. 株式譲渡と事業譲渡はどちらを選ぶか税率だけなら、個人株主の株式譲渡は20.315%の分離課税となるため、比較的計算しやすい方法です。しかし、簿外債務、許認可、従業員、契約承継、買い手の希望も判断材料です。
事業譲渡は対象事業を選べますが、個別移転や消費税の確認が必要です。税務と法務を同じ条件表で比較します。
5-3. 役員退職金が否認される典型的な条件退職の実態がない、金額が在任期間や功績に比べて過大、株主総会などの決議がない場合は否認リスクが高まります。支給後も経営の主要な地位に残る場合も注意が必要です。
最終報酬月額、勤続年数、功績、同業同規模法人の支給状況を確認し、議事録と算定資料を残します。
6. おすすめ商品: 手取りを重視するならM&A PMI AGENTの特徴と選び方手取りを重視するなら、手取りを重視するならM&A PMI AGENTが選択肢になります。売却価格ではなく、仲介手数料、税金、実費、引継ぎ条件を差し引いた「手取り額」で比較できる点が特徴です。
初回相談、着手金、中間金は無料で、最低報酬は500万円〜です。オンライン面談中心で、他社の手数料、最低報酬、成功報酬の計算方法、テール条項などを契約前に比較できます。
会社売却だけでなく、事業譲渡のスキーム、税金、引継ぎ条件を踏まえた整理にも対応します。買い手候補への打診から条件交渉、DD、最終契約、クロージングまで支援するため、価格と手取りの差を確認しやすくなります。
他社から提案書や見積りを受け取っている場合も、仲介契約前であれば比較相談が可能です。最低報酬や成功報酬だけでなく、専門家費用や実費を含めた総額で判断してください。
7. まとめ会社売却の税金対策は、株式譲渡か事業譲渡か、個人株主か法人株主かを分けて考えることから始まります。個人の株式譲渡では20.315%が基本ですが、取得費と譲渡費用の確認が欠かせません。
役員退職金、会社分割、第三者割当増資、繰越欠損金は、要件と実態が整えば有効な選択肢です。まずは12か月前を目安に資料を集め、税理士や公認会計士と手取り額を試算してください。
税金だけでなく、仲介手数料、DD費用、実費、引継ぎ条件まで含めて比較すると、売却後に使える資金をより正確に把握できます。


