カーブアウトとは?手順・手法・課題からメリット・デメリットまで、M&Aを成功させるスキームを解説
「カーブアウト」という言葉を聞いたことはありますか?企業が成長戦略の一環として、事業の一部を分離・独立させる手法のことです。
本記事では、カーブアウトの基礎知識から、具体的な手順・手法、そして成功させるためのポイントまでを徹底解説します。M&Aや事業再編に関わる経営者やビジネスパーソン必見の内容です。
事業分離のメリット・デメリット、課題を理解し、最適な戦略を描くための情報を提供します。
M&A PMI AGENTは上場企業・中堅・中小企業の「M&AからPMI支援までトータルサポート」できるM&A仲介会社です。詳しくはコンサルタントまでお気軽にご相談ください。
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- 目次
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1. カーブアウトとは
1.1 事業分離の戦略
1.2 カーブアウトの定義
2. カーブアウトの手順・手法
2.1 主な手順
2.2 具体的な手法:IPO
2.3 具体的な手法:マネジメント・バイアウト(MBO)
2.4 具体的な手法:売却
3. カーブアウトにおける課題
3.1 従業員のモチベーション維持
3.2 情報管理の徹底
3.3 事業の継続性確保
3.4 システム・インフラの分離
3.5 文化の違いへの対応
3.6 法的・税務上の課題
3.7 関係者との交渉
3.8 適切な評価と価格設定
4. カーブアウトのメリット・デメリット
4.1 メリット
4.2 デメリット
5. カーブアウトを成功させるためのポイント
5.1 綿密な計画と準備
5.2 適切な専門家との連携
5.3 透明性の高いコミュニケーション
6. まとめ
企業が成長戦略の一環として、事業の選択と集中を進めることは珍しくありません。その際、中核事業に集中するために、あるいは非中核事業の企業価値向上を図るために、既存事業の一部を分離する戦略が用いられることがあります。
このような事業分離の戦略は、大きく「カーブアウト」「スピンオフ」「カンパニー分割」の3つに分類されます。
戦略 | 分離対象事業の扱い | 分離後の親子関係 | 主な目的 |
---|---|---|---|
カーブアウト | 分離対象事業を子会社化 | 親子関係は維持(株式の一部売却) | 資金調達、事業の独立性向上 |
スピンオフ | 分離対象事業を子会社化 | 親子関係の解消(株主へ株式を分配) | 事業の独立性向上、株主価値向上 |
カンパニー分割 | 分離対象事業を独立会社化 | 新規会社設立、事業承継(吸収分割・新設分割) | 事業の選択と集中、経営効率向上 |
これらの戦略の中で、本稿で解説する「カーブアウト」は、親会社が子会社の株式の一部または全部を売却することで資金調達を行うと同時に、分離対象事業の経営の独立性を高めることを目的とした戦略です。
1.2 カーブアウトの定義
カーブアウトとは、企業が既存事業の一部を分離し、新たに設立した子会社の株式を、一部または全部売却することを指します。この際、売却先は株式市場の場合もあれば、特定の企業や投資ファンドの場合もあります。
カーブアウトを実施することで、企業は分離対象事業の成長に必要な資金を獲得できるだけでなく、経営資源を中核事業に集中させることができます。また、子会社化することで、分離対象事業に専門的な経営陣を配置し、独立性を高めることも可能となります。
カーブアウトは、企業にとって事業ポートフォリオの最適化、資金調達、企業価値向上など、多くのメリットをもたらす可能性を秘めた戦略といえます。
2. カーブアウトの手順・手法
カーブアウトは複雑なプロセスであり、綿密な計画と実行が必要です。ここでは、一般的なカーブアウトの手順と、具体的な手法としてIPO、MBO、売却について解説します。
2.1 主な手順
戦略策定 | カーブアウトの目的、対象事業、手法などを決定します。市場分析、財務分析、法的・税務的な検討などを実施し、実現可能性やリスクを評価します。 |
---|---|
分離準備 | 対象事業を分離するための準備を行います。これには、財務会計の分離、人事制度の整備、ITシステムの切り離し、法的契約の見直しなどが含まれます。 |
実行 | 選択した手法に基づき、カーブアウトを実行します。IPOであれば株式公開に向けた手続き、MBOであれば買収交渉、売却であれば買い手企業の探索と交渉を行います。 |
統合・運営 | カーブアウト後の独立した事業体として、円滑な運営を図ります。事業計画の遂行、組織体制の構築、新たな顧客獲得などが求められます。 |
2.2 具体的な手法:IPO
IPO(Initial Public Offering)は、カーブアウトした事業を新規上場させる手法です。株式市場から資金調達を行い、事業の成長を加速させることが期待できます。
IPOのメリット
多額の資金調達が可能 | |
企業の知名度向上 | |
従業員のモチベーション向上 |
IPOのデメリット
上場準備に時間と費用がかかる | |
情報開示の義務が発生 | |
株価変動のリスク |
IPOの手順
主幹事証券会社選定 | 上場に向けたアドバイスや支援を受けるため、主幹事証券会社を選定します。 |
---|---|
上場準備 | 事業計画の策定、財務諸表の監査、内部統制の整備など、上場に必要な準備を行います。 |
目論見書作成・提出 | 投資家向けに、企業情報や上場条件などを記載した目論見書を作成し、証券取引所に提出します。 |
上場承認 | 証券取引所の審査を経て、上場が承認されます。 |
株式公開 | 証券取引所に株式を上場し、一般投資家からの取引が開始されます。 |
2.3 具体的な手法:マネジメント・バイアウト(MBO)
MBO(Management Buyout)は、現経営陣が主体となって、対象事業を買収する手法です。経営の独立性を維持し、長期的な視点で事業を成長させることができます。
MBOのメリット
経営の独立性を維持できる | |
従業員の雇用維持 | |
迅速な意思決定が可能 |
MBOのデメリット
資金調達が難しい場合がある | |
経営陣への負担が大きい | |
事業の成長が限定的になる可能性 |
MBOの手順
買収スキームの検討 | 買収価格、資金調達方法、組織体制などを検討します。 |
---|---|
資金調達 | 金融機関や投資ファンドから、買収資金を調達します。 |
株式取得 | 調達した資金を用いて、対象事業の株式を取得します。 |
経営統合 | 買収後、速やかに経営を統合し、事業の安定化を図ります。 |
2.4 具体的な手法:売却
売却は、対象事業を他の企業に売却する手法です。売却による資金で、親会社の財務体質を強化したり、成長分野への投資を促進したりすることができます。
売却のメリット
短期間で資金回収が可能 | |
事業の選択と集中 | |
経営資源の効率化 |
売却のデメリット
従業員の雇用不安 | |
技術やノウハウの流出 | |
適切な買い手が見つからない場合がある |
売却の手順
買い手候補の選定 | 対象事業に興味を持つ可能性のある企業をリストアップします。財務状況、事業内容、シナジー効果などを考慮して、最適な買い手候補を選定します。 |
---|---|
交渉・契約 | 買い手候補と売却条件に関する交渉を行い、最終的な契約を締結します。売却価格、支払条件、従業員の処遇などが重要な交渉項目となります。 |
事業譲渡 | 契約に基づき、対象事業の資産、負債、契約、従業員などを買い手に譲渡します。法的・税務的な手続きを行い、円滑な事業譲渡を実現します。 |
カーブアウトの手法比較
それぞれのメリット・デメリット、事業の状況などを考慮して、最適な手法を選択することが重要です。
手法 | メリット | デメリット | 特徴 |
---|---|---|---|
IPO |
|
|
株式市場への公開を通して資金調達を行う |
MBO |
|
|
現経営陣による買収 |
売却 |
|
|
他の企業への事業売却 |
3. カーブアウトにおける課題
カーブアウトは、綿密な計画と実行が求められる複雑なプロセスであり、様々な課題が伴います。企業は、これらの課題を認識し、適切な対策を講じることで、カーブアウトを成功に導くことができます。
3.1 従業員のモチベーション維持
カーブアウトは、従業員の雇用やキャリアパスに大きな影響を与える可能性があります。そのため、従業員の不安や動揺を取り除き、モチベーションを維持することが重要です。
具体的には、カーブアウトの目的や計画、従業員への影響などを丁寧に説明し、従業員の不安や疑問に思っていることに対して真摯に耳を傾ける必要があります。
また、新会社におけるキャリアパスや処遇などを明確に示すことで、従業員の将来に対する不安を軽減することが重要です。
3.2 情報管理の徹底
カーブアウトのプロセスでは、機密性の高い情報が社内外に多く存在します。これらの情報漏洩は、企業の競争力や評判に大きな影響を与える可能性があります。
そのため、情報管理を徹底し、機密情報の漏洩を防ぐことが重要です。具体的には、アクセス権限の設定や情報持ち出しの制限など、厳格なセキュリティ対策を講じる必要があります。
また、従業員に対して、情報セキュリティに関する教育を実施し、意識向上を図ることも重要です。
3.3 事業の継続性確保
カーブアウトのプロセスにおいて、事業の継続性を確保することは非常に重要です。特に、顧客、サプライヤー、従業員との関係を維持し、円滑な事業移管を実現する必要があります。
そのため、事業計画を綿密に作成し、必要なリソースを確保しておくことが重要です。また、関係者とのコミュニケーションを密に取り、事業の継続性に対する理解と協力を得ることが重要です。
3.4 システム・インフラの分離
カーブアウトでは、親会社から独立した事業として成立させるために、システムやインフラを分離する必要があります。これは、ITシステム、会計システム、人事システムなど、多岐にわたる可能性があります。
システムやインフラの分離には、多大な時間とコストがかかる場合があり、綿密な計画と実行が求められます。また、分離に伴うシステム障害やデータ移行の失敗は、事業に大きな影響を与える可能性があるため、十分な注意が必要です。
3.5 文化の違いへの対応
カーブアウトによって、異なる企業文化を持つ組織が統合される場合、文化の違いが課題となることがあります。異なる価値観や仕事の進め方が、組織内の摩擦やコミュニケーションの問題を引き起こす可能性があります。
文化の違いによる影響を最小限に抑えるためには、統合前に双方の企業文化を理解し、尊重することが重要です。また、共通の目標や価値観を明確化し、組織全体で共有するための取り組みが必要となります。
3.6 法的・税務上の課題
カーブアウトには、複雑な法的・税務上の手続きが伴います。企業は、これらの手続きを適切に行わなければ、法令違反や税務上のペナルティを受ける可能性があります。
そのため、弁護士や税理士などの専門家のアドバイスを受けながら、手続きを進めることが重要です。具体的には、会社分割、株式譲渡、事業譲渡などの法的スキームを検討し、最適な方法を選択する必要があります。また、税務上の影響を考慮し、節税対策なども検討する必要があります。
3.7 関係者との交渉
カーブアウトでは、株主、債権者、従業員、取引先など、多くの関係者との交渉が必要となります。それぞれの関係者に対して、カーブアウトの目的や計画を丁寧に説明し、理解と協力を得ることが重要です。交渉がうまくいかない場合、カーブアウトのスケジュールに遅延が生じたり、最悪の場合、中止に追い込まれる可能性もあります。
3.8 適切な評価と価格設定
カーブアウトでは、分離対象となる事業を適切に評価し、適正な価格を設定することが重要です。評価が低すぎると、売却による収益が減少する可能性があります。一方、評価が高すぎると、買い手が見つからない可能性があります。そのため、市場環境や事業の将来性などを考慮しながら、専門家の意見も踏まえて、適正な評価と価格設定を行う必要があります。
4. カーブアウトのメリット・デメリット
カーブアウトは、企業にとって戦略的に重要な決断となるため、メリットだけでなくデメリットも十分に理解しておく必要があります。ここでは、カーブアウトのメリットとデメリットについて詳しく解説します。
4.1 メリット
カーブアウトを実施するメリットとしては、主に以下のような点が挙げられます。
経営資源の集中
- 非中核事業を切り離すことで、経営資源を成長性の高い中核事業に集中させることができます。
- 例えば、限られた経営資源を、将来性のある新製品開発や、競争の激しい市場への進出に投入することができます。
- これにより、企業全体の収益性向上や競争力強化を図ることができます。
資金調達
- カーブアウトした事業を売却したり、株式公開(IPO)したりすることで、新たな資金を調達することができます。
- 調達した資金は、既存事業の成長投資や、新規事業の開発、借入金の返済などに活用することができます。
- 資金調達の方法は、カーブアウトの手法によって異なります。
手法 | 資金調達方法 |
---|---|
IPO | 株式市場で株式を公開し、投資家から資金を調達 |
売却 | 事業を他の企業や投資ファンドに売却し、売却益を得る |
MBO | 経営陣が自ら資金を調達し、事業を買収 |
事業価値の向上
- 非中核事業を独立させることで、その事業に特化した経営戦略を展開できるようになり、事業価値の向上に繋がることが期待できます。
- 例えば、意思決定のスピードが向上したり、専門性の高い人材を獲得しやすくなったりすることで、市場の変化により柔軟に対応できるようになります。
4.2 デメリット
一方で、カーブアウトには以下のようなデメリットも存在します。
事業縮小の可能性
- カーブアウトによって、一時的に売上や利益が減少する可能性があります。
- 特に、切り離した事業が収益の柱であった場合、その影響は大きくなります。
- 事業規模の縮小は、企業の信用力低下や、従業員のモチベーション低下に繋がる可能性も考慮する必要があります。
従業員の反発
- カーブアウトは、従業員の雇用不安に繋がりやすく、反発を招く可能性があります。
- 特に、切り離される事業の従業員にとっては、待遇や雇用の継続について大きな不安を感じることになります。
- 円滑なカーブアウトを進めるためには、従業員への丁寧な説明や、雇用維持に最大限配慮することが重要です。
コスト増加
- カーブアウトには、分離独立に伴う様々なコストが発生します。
- 例えば、システムの分離や、新たな人材の採用、専門家へのコンサルティング費用などが挙げられます。
- これらのコスト増加は、企業の財務状況に影響を与える可能性があるため、事前に十分なシミュレーションが必要です。
ノウハウの喪失
- 長年培ってきたノウハウや技術が、カーブアウトによって失われてしまう可能性があります。
- 特に、切り離した事業が中核事業と密接に関係していた場合、その影響は大きくなります。
- ノウハウの喪失は、企業の競争力低下に繋がる可能性があるため、事前に対策を講じておく必要があります。
5. カーブアウトを成功させるためのポイント
カーブアウトは、綿密な計画と準備、関係者との連携、そして透明性の高いコミュニケーションによって、その成否が大きく左右されます。複雑なプロセスだからこそ、各段階における適切な戦略と実行が不可欠です。ここでは、カーブアウトを成功に導くための重要なポイントを詳しく解説します。
5.1 綿密な計画と準備
カーブアウトの成功は、入念な準備段階にかかっています。事業の切り離し方、独立後の事業計画、想定されるリスクと対策などを事前に明確化しておくことが重要です。
事業の現状分析
財務状況 | カーブアウト対象事業の財務諸表を分析し、収益性、安定性、成長性を評価します。過去のデータだけでなく、将来予測も踏まえて分析することが重要です。 |
---|---|
事業の依存性 | 親会社や他のグループ会社への依存度を分析します。人事、経理、システムなど、どの程度共有しているのか、分離による影響はどの程度かを把握します。 |
法的側面 | 契約書、許認可など、カーブアウトに関連する法的側面を洗い出し、必要な手続きや対応を検討します。特に、知的財産権については、分離後の帰属を明確にしておくことが重要です。 |
分離後の事業計画
ターゲット市場 | カーブアウト後の事業のターゲット市場を明確化し、市場規模、競合状況、成長性を分析します。親会社傘下ではなくなった場合の競争優位性をどのように構築していくかを検討する必要があります。 |
---|---|
収益モデル | 分離後の事業の収益源、コスト構造を明確化し、実現可能な収益目標を設定します。親会社からの支援がなくなることを想定し、独立採算可能な事業計画を策定する必要があります。 |
組織体制 | 分離後の事業に必要な人員、スキルを洗い出し、最適な組織体制を構築します。親会社からの人材移籍、新規採用など、様々な選択肢を検討する必要があります。 |
リスク分析と対策
財務リスク | 分離後の資金繰り、収益悪化など、想定される財務リスクを洗い出し、対策を検討します。資金調達計画を立て、必要な場合は金融機関との交渉も進めておく必要があります。 |
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事業運営リスク | 顧客流出、従業員退職、システム障害など、事業運営上のリスクを洗い出し、対策を検討します。事業継続計画を策定し、緊急事態発生時の対応を明確にしておくことが重要です。 |
法的リスク | 契約上の問題、訴訟リスクなど、想定される法的リスクを洗い出し、対策を検討します。弁護士などの専門家の意見を聞きながら、リスクを最小限に抑える必要があります。 |
5.2 適切な専門家との連携
カーブアウトは専門性の高いプロセスです。弁護士、会計士、税理士、コンサルタントなどの専門家の力を借りることが、成功への近道となります。それぞれの専門家の役割を理解し、適切なタイミングで協力を仰ぎましょう。
専門家 | 役割 |
---|---|
弁護士 | 契約書作成・レビュー、法的デューデリジェンス、法的リスクの評価と対策 |
会計士 | 財務デューデリジェンス、財務モデル作成、事業計画策定支援 |
税理士 | 税務デューデリジェンス、カーブアウトに伴う税務上の影響評価、税務対策 |
コンサルタント | 事業計画策定支援、組織再編支援、PMI支援 |
5.3 透明性の高いコミュニケーション
カーブアウトのプロセスでは、従業員、顧客、取引先、株主など、多くのステークホルダーとのコミュニケーションが重要となります。それぞれの立場に配慮した情報公開を行い、不安や混乱を最小限に抑えるように努めましょう。
従業員への説明
カーブアウトの目的、背景、今後の見通しを丁寧に説明します。従業員の雇用がどうなるのか、労働条件はどうなるのかなど、不安に感じている点を具体的に説明することが重要です。質疑応答の時間を設け、従業員の疑問や不安に答える機会を設けます。風通しの良いコミュニケーションを心がけ、従業員の意見に耳を傾ける姿勢が重要です。
情報共有を定期的に行い、最新状況を従業員に伝えます。カーブアウトの進捗状況、新たな課題やリスク、今後のスケジュールなどを共有することで、従業員の不安を軽減することができます。
顧客・取引先への対応
事前にカーブアウトについて説明し、理解と協力を得られるよう努めます。契約の継続、取引条件の変更など、顧客や取引先に影響がある場合は、事前に丁寧に説明する必要があります。問い合わせ窓口を設置し、顧客や取引先からの質問に迅速かつ丁寧に回答します。カーブアウトによって混乱が生じることが予想されるため、迅速な対応が求められます。
継続的な関係構築を重視し、信頼関係を維持します。カーブアウト後も、顧客や取引先との良好な関係を継続していくことが重要です。
投資家への説明
カーブアウトの目的、戦略、財務目標を明確に説明します。投資家が最も関心を持つのは、カーブアウトによって企業価値が向上するかどうかです。具体的な数値目標を示しながら、投資家にとってのメリットをアピールする必要があります。リスクと対策についても具体的に説明し、投資家の理解を得ます。カーブアウトに伴うリスクを隠さずに説明することで、投資家の信頼を得ることができます。
定期的に業績報告を行い、透明性を確保します。カーブアウト後も、投資家とのコミュニケーションを継続し、信頼関係を維持していくことが重要です。
カーブアウトは、企業にとって大きな転換期となる可能性を秘めています。成功のためには、綿密な計画と準備、適切な専門家との連携、透明性の高いコミュニケーションが不可欠です。これらのポイントを押さえ、関係者と協力しながらプロセスを進めることで、カーブアウトを成功に導くことができるでしょう。
6. まとめ
カーブアウトは、企業にとって非中核事業を分離し、経営資源の集中や資金調達を可能にする有効な戦略となりえます。
しかし、従業員のモチベーション低下や事業縮小の可能性など、課題も存在します。成功のためには、綿密な計画、専門家との連携、透明性の高いコミュニケーションが不可欠です。
カーブアウトを検討する企業は、メリット・デメリット、そして課題を理解した上で、慎重に進める必要があります。
編集者の紹介
株式会社M&A PMI AGENT
代表取締役 日下部 興靖
上場企業のグループ会社の取締役を4社経験。M&A・PMI業務・経営再建業務などを10年経験し、多くの企業の業績改善を行ったPMIのエキスパート。3か月のPMIにて期首予算比で売上1.8倍、利益5倍などの実績を持つ。