企業概要書(IM)でM&Aを有利に進める!作成ポイントとは?

企業概要書(IM)でM&Aを有利に進める!作成ポイントとは?

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公開日:2024年8月7日
最終更新日:2026年8月11日

企業概要書(IM)は、会社案内ではなく、買い手企業の投資判断と価格交渉を支える重要資料です。数値と根拠をそろえ、強みとリスクを同じ精度で示すことが、M&Aの成否を分けます。

1. 企業概要書(IM)の役割とM&Aでの開示タイミング

企業概要書(IM)は、Information Memorandumの略称です。売り手企業の会社概要、事業内容、組織、財務状況、譲渡理由、事業計画などをまとめ、買い手企業へ詳細情報を伝える資料です。

IMは、ノンネームシートで関心を示した買い手候補が、具体的な検討へ進む段階で使われます。買い手はIMを基に意向表明書(LOI)の内容を検討し、企業価値や買収条件の社内承認を進めます。

したがって、IMの記載内容は、候補先の数だけでなく、提示価格や交渉のスピードにも影響します。情報が不足していれば質問が増え、買い手が不確実性を織り込んで低い価格を提示することがあります。

1-1. 企業概要書(IM)が買い手の投資判断を左右する理由

IMは単なる会社案内ではありません。買い手が収益性、成長性、リスク、買収後のシナジーを検討する基礎資料であり、社内稟議や投資委員会にも利用されます。

売上高と決算書の数字が一致しない、主要顧客の説明がない、許認可の期限が不明といった状態は、追加質問の増加や候補先の離脱につながります。

1-2. ノンネームシートとIMの情報量を比較する

ノンネームシートは、企業名や特定可能な情報を伏せ、業種、地域、売上規模、事業の概要などを簡潔に記載する資料です。秘密保持契約(NDA)を結ぶ前に、買い手候補の関心を確認する目的で使われます。

一方、IMはNDA締結後に開示され、会社名、所在地、顧客構成、組織図、財務諸表などを含みます。ノンネームシートが予告編なら、IMは投資判断のための本編です。

1-3. NDA締結からIM開示までの秘密保持手順

一般的な流れは、候補先の選定、NDAの締結、IMの交付、買い手からの質問対応、意向表明、デューデリジェンス(DD)です。NDAには、目的外利用の禁止、第三者開示の制限、返還や廃棄などを定めます。

開示先は買い手側の担当部署や専門家に限定し、PDFに管理番号や透かしを付けます。交付先、交付日、版数、返却・廃棄状況を記録すると、情報管理の責任範囲が明確になります。

【文脈】M&Aで情報を段階的に開示する流れを示し 1-4. 企業概要書(IM)作成が価格交渉へ与える影響

例えば、売上高の約40%が単一顧客に依存していても、契約期間、取引継続年数、代替顧客の開拓状況を示せば、リスクを定量的に議論できます。

さらに、社長が担っていた営業を部長へ移管し、月次売上の推移や引継ぎ計画を示せば、経営者依存による減額を抑えやすくなります。正常収益力と買い手固有のシナジーを整理すると、単純な利益倍率だけではない交渉が可能です。

2. 企業概要書(IM)でM&Aを有利に進める作成項目

IMの基本は、会社の事実を「買い手が評価できる順番」で整理することです。会社概要から事業、組織、財務、リスク、将来計画へ進む構成にすると、読み手が判断しやすくなります。

項目

主な記載内容

裏付け資料

会社概要

沿革、株主、拠点、譲渡スキーム

登記簿、株主名簿

事業内容

商流、商品、顧客、KPI

顧客一覧、販売資料

組織

役員、従業員、キーマン

組織図、資格台帳

財務

直近3〜5期の推移、正常収益力

決算書、試算表、元帳

法務等

許認可、契約、訴訟、簿外債務

契約書、許可証、就業記録

2-1. 会社概要とエグゼクティブサマリーの構成方法

冒頭には、社名、設立年月日、所在地、資本金、株主構成、拠点、従業員数、主要地域、譲渡スキームを記載します。株式譲渡か事業譲渡か、経営者が譲渡後も関与するかも明示します。

エグゼクティブサマリーは、事業の特徴、収益の柱、客観的な強み、買い手にとっての検討価値を1〜2ページで示します。「地域に強い」ではなく、「県内の取引先が売上の65%を占め、平均取引年数が10年」のように書きます。

2-2. 事業内容とビジネスモデルを数値で示す方法

製造業なら、受注から設計、製造、検査、納品までの工程を図解し、設備稼働率、案件単価、受注残を示します。建設業なら、元請・下請の比率、工事種類、完成工事高、有資格者数を整理します。

サービス業では、拠点別売上、継続率、解約率、客単価、リードタイムが有効です。卸売業では、仕入先と販売先の構成、在庫回転、粗利率、季節変動を示すと収益構造が伝わります。

「高品質」「地域で有名」といった形容詞は、根拠となる数値や事例とセットにします。文章だけでなく、商流図、売上構成グラフ、工程写真を用いると、異業種の買い手にも理解されやすくなります。

2-3. 組織・株主・従業員情報で承継リスクを伝える

組織図、役員一覧、部門別従業員数、雇用形態、平均年齢、勤続年数、資格保有者数を記載します。株主名、持株比率、株式の種類も、登記簿や株主名簿と照合して確認します。

社長が主要顧客との関係、見積判断、技術ノウハウを一人で担っている場合は、依存度を隠さず示します。引継ぎ期間、キーマンの継続勤務、ロックアップの希望を具体化すると、買い手は承継可能性を判断できます。

2-4. 財務諸表と正常収益力を過去推移で整理する

損益計算書と貸借対照表は、直近3〜5期を目安に掲載します。売上高、売上総利益、営業利益、EBITDA、総資産、純資産、借入金、運転資本の推移を表とグラフで示します。

キャッシュ・フロー計算書を作成していれば併記し、営業活動による資金の増減も確認します。役員報酬、私的利用の費用、一過性の修繕費、災害損失などは区分し、修正後の正常収益力を算出します。

例えば営業利益が1,000万円でも、一過性費用300万円を除けば正常収益力は1,300万円と説明できます。ただし、買い手が検証できる根拠資料を添付し、都合のよい調整だけを加えないことが重要です。

3. 買い手に評価されるIMの見せ方とリスク開示

評価されるIMは、魅力だけでなく、リスクの発生原因と対応策まで記載しています。買い手がDDで初めて知る情報を減らすほど、信頼性が高まり、価格調整や表明保証をめぐる対立も抑えられます。

開示の基本は、事実、影響、対応策の3段階です。問題を小さく見せるのではなく、買い手が買収後に管理できる情報へ変換することが、売り手企業の価値を守ります。

3-1. 買い手が確認する売上構成と事業KPIの具体例

顧客別売上比率、上位5社の構成比、粗利率、受注残、稼働率、解約率、案件単価、リードタイム、リピート率などを記載します。業種により重要指標は異なるため、売上や利益に直結するKPIを選びます。

期間、対象範囲、計算式を必ず明記します。例えば「リピート率」は、既存顧客の再購入率なのか、継続契約の更新率なのかで意味が異なります。直近3期と直近12か月を比較できる形が有効です。

3-2. 強みと買い手とのシナジーを実現手段で表現する

「技術力が高い」は、特許数、資格者数、不良率、納期遵守率、継続受注率などへ置き換えます。「地域に強い」は、商圏、拠点数、顧客接点、配送範囲、取引年数で具体化します。

シナジーは買い手別に記載します。販路共有なら対象顧客と販売方法、調達効率化なら仕入額と共同購買の余地、人材補完なら不足職種と配置案まで示すと、期待が実行計画になります。

3-3. 顧客集中・簿外債務・許認可を正しく開示する

顧客集中、未払残業代、保証債務、未計上の退職給付、税務上の懸念、訴訟、環境問題などは、事実と金額または範囲を整理します。金額が確定していない場合は、判明している事実と調査状況を記載します。

許認可は名称、番号、取得日、有効期限、更新条件、承継可否を一覧化します。主要契約は、契約期間、解約条件、経営権変更時の解除条項(チェンジオブコントロール条項)を確認します。

確認には、決算書だけでなく総勘定元帳、給与台帳、契約書、行政への届出、議事録を使います。社内担当者だけで判断せず、税務・法務の専門家へ確認した記録を残します。

3-4. 業種別の記載例で事業価値を具体化する方法

製造業は「主要設備8台、平均稼働率78%、受注残は月商の2.1か月分」のように示します。建設業は「有資格者12名、元請比率55%、公共工事と民間工事の構成」を示すと、受注基盤が伝わります。

サービス業は「月額契約の売上比率、拠点別の営業利益、継続率」を軸にします。卸売業は「仕入先上位3社の比率、在庫回転、粗利率」を記載します。「業界最大級」など裏付けのない表現は避けます。

【文脈】企業概要書に記載する情報を 4. 資料準備からDD対応までIMを完成させる実務手順

IM作成は、原稿を書く作業ではなく、会社の情報を収集し、照合し、買い手が判断できる形に変える工程です。資料準備、ヒアリング、執筆、照合、専門家レビュー、開示、質問対応の順に進めます。

  1. 決算書・契約書・許認可などを収集する

  2. 経営者と現場責任者へヒアリングする

  3. 項目別に事実と根拠を整理する

  4. 財務・法務・税務の整合性を確認する

  5. NDA締結後に限定開示する

  6. 質問管理表を使ってDDへ対応する

資料が整っている会社でも、作成から初回開示まで半月から1か月程度かかることがあります。決算期や人事異動、主要契約の変更がある場合は、開示直前に更新します。

4-1. 作成前に集める財務・契約・許認可資料一覧

最低限、次の資料を項目別に確認します。決算書、試算表、総勘定元帳、固定資産台帳、借入一覧、顧客・仕入先一覧、主要契約書、許認可証、組織図、株主名簿をそろえます。

加えて、就業規則、給与台帳、退職金規程、知的財産資料、訴訟関連書類、賃貸借契約、リース契約、事業計画を確認します。資料がない場合は、未整備である事実と代替資料を記録します。

4-2. 経営者ヒアリングで数字に表れない価値を掘り出す

創業経緯、顧客を獲得した経路、取引が続く理由、現場の属人ノウハウ、撤退判断の基準を質問します。経営者の記憶だけで終わらせず、顧客台帳、営業日報、工程表などの事実に結び付けます。

例えば「社長の人脈で受注している」という説明は、「月1回の訪問を5年間継続し、年間受注額が一定範囲で推移している」と整理できます。定性的な価値も、再現可能な業務として示すことが重要です。

4-3. 専門家レビューで数値と表現の不整合を確認する

M&A仲介会社やFAは、事業の見せ方、買い手候補の関心、交渉方針を確認します。税理士や公認会計士は財務数値と正常収益力、弁護士などは契約、許認可、訴訟、表明保証の論点を確認します。

社内確認では事実と現場感を確認し、外部レビューでは第三者の理解可能性と法的・財務的な整合性を確認します。各ページの数値に根拠資料の番号を付けると、後の質問対応が速くなります。

4-4. IM開示後の質問管理と更新履歴を残す方法

質問管理表には、質問内容、担当者、回答期限、回答日、根拠資料、開示可否を記録します。同じ質問への回答が担当者ごとに変わらないよう、最終回答を一元管理します。

月次決算、主要契約の変更、従業員の退職、許認可の更新、訴訟の進展があればIMを更新します。版数、更新日、変更箇所、開示先を記録し、古い版が流通しないよう回収・廃棄を徹底します。

【文脈】資料準備からデューデリジェンス対応までのIM作成実務を時系列で示すプロセス図 5. 企業概要書(IM)に関するよくある質問(FAQ) 5-1. 企業概要書(IM)は何ページ程度にまとめるべきですか

ページ数に決まった基準はありません。買い手の初期判断に必要な情報を本文へまとめ、決算書、顧客一覧、設備台帳、契約書などの詳細資料は別紙やデータルームで管理します。

重要なのは、短くすることではなく、情報の重複を減らし、数値の定義と根拠を示すことです。一般的には数十ページになる場合があります。

5-2. 企業概要書(IM)の作成期間はどれくらい必要ですか

資料の整備状況やヒアリング回数、財務・法務レビューの有無で変わります。上位記事では、数十ページのIM作成に半月から1か月程度かかることが多いとされています。

資料不足がある会社では、収集と確認にさらに時間が必要です。買い手探しと並行して準備を始めると、候補先への回答遅延を抑えられます。

5-3. 企業概要書(IM)は売り手が自分で作成できますか

自社で原稿や資料を準備することは可能です。経営者や現場担当者しか知らない強みを洗い出せる点は、自社作成の利点です。

ただし、主観的な表現、記載漏れ、財務数値の不整合は起こりやすいため、M&A仲介会社やFA、税務・法務の専門家によるレビューを受けるのが安全です。

5-4. 赤字や顧客集中がある会社でもIMを開示できますか

開示できます。赤字の発生要因が一過性か構造的か、改善策が実行済みか、買い手が取り得る対応は何かを分けて説明します。

顧客集中も、取引年数、契約期間、更新実績、代替顧客の開拓状況を示せば評価材料になります。隠してDDで判明すると信頼を失うため、問題を先に整理する方が交渉上有利です。

6. おすすめ商品: 手取りを重視するならM&A PMI AGENTの特徴と選び方

M&Aでは売却価格だけでなく、仲介手数料、税金、実費、引継ぎ条件を差し引いた手取り額で比較する必要があります。企業概要書の作成支援先を選ぶ際も、提示価格だけでなく、契約後に残る金額と支援範囲を確認します。

手取りを重視するならM&A PMI AGENTは、初回相談、着手金、中間金が無料で、最低報酬は500万円〜です。オンライン面談中心で、他社の手数料、最低報酬、成功報酬の計算方法、テール条項などを契約前に比較できます。

同社は、買い手候補への打診、条件交渉、DD、最終契約、クロージングまで支援します。M&A仲介に加え、ビジネスDD、PMI、企業再生、経営改善まで含めて検討したい場合に、支援範囲を確認する選択肢になります。

例えば譲渡価格が5,000万円の場合、最低報酬の差が手取りに影響する可能性があります。ただし、成功報酬の計算基準や実費などは案件内容で異なるため、契約前に総額と条件を確認してください。

7. まとめ

企業概要書(IM)は、売り手企業の価値を買い手企業へ伝え、LOI、価格交渉、DDの土台となる資料です。ノンネームシートとの役割を分け、NDA締結後に必要な情報を段階的に開示します。

作成時は、直近3〜5期の財務状況、正常収益力、顧客構成、組織、許認可、契約、事業計画を根拠資料と照合します。強みだけでなくリスクと対応策も示すことが、信頼と交渉力につながります。

まずは決算書、契約書、許認可証、組織図、顧客一覧を集め、経営者が担う業務と引継ぎ課題を整理してください。そのうえで、M&A仲介会社やFA、税務・法務の専門家とレビュー体制を整えることが、実務の出発点です。

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編集者の紹介

日下部 興靖

株式会社M&A PMI AGENT

代表取締役 日下部 興靖

上場企業のグループ会社の取締役を4社経験。M&A・PMI業務・経営再建業務などを10年経験し、多くの企業の業績改善を行ったM&A・PMIの専門家。3か月の経営支援にて期首予算比で売上1.8倍、利益5倍などの実績を持つ。

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