事業承継・M&A補助金(11次公募)の概要・スケジュール・申請方法を徹底解説
事業承継・M&A補助金11次公募の概要、スケジュール、申請方法を網羅的に解説します。本記事を読めば、補助金の目的や対象となる事業承継・M&Aの種類、11次公募における変更点や注意点、補助対象経費、補助率、補助上限額、申請期間、審査期間、交付決定時期、必要書類、電子申請システムの使い方などを理解できます。
さらに、よくある質問への回答も掲載し、申請資格、補助対象経費、申請手続きに関する疑問を解消します。事業承継・M&Aを検討している企業にとって、補助金を活用することは資金調達の一助となります。本記事を参考に、申請を成功させましょう。
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編集者の紹介
株式会社M&A PMI AGENT
代表取締役 日下部 興靖
上場企業のグループ会社の取締役を4社経験。M&A・PMI業務・経営再建業務などを10年経験し、多くの企業の業績改善を行ったM&A・PMIの専門家。3か月の経営支援にて期首予算比で売上1.8倍、利益5倍などの実績を持つ。
1. 事業承継・M&A補助金とは?
事業承継・M&A補助金は、中小企業の事業承継やM&Aを支援するための国の補助金制度です。事業承継に伴う設備投資や、M&A、PMI(経営統合)にかかる専門家費用などを補助することで、中小企業の生産性向上や雇用の維持を図ることを目的としています。
1.1 補助金の目的と概要中小企業の経営者の高齢化が進むにつれて、後継者不足による廃業が社会問題となっています。廃業によって地域経済の衰退や雇用の減少につながることを防ぎ、円滑な事業承継を促進するために創設されたのが、この事業承継・M&A補助金です。
本補助金は、事業承継を促進するための設備投資等を支援する「事業承継促進枠」、M&Aにかかる専門家費用等を支援する「専門家活用枠」、M&A後の統合を支援する「PMI推進枠」、廃業に伴う費用を補助する「廃業・再チャレンジ枠」の大きく分けて4つの枠組みで構成されています。(11次公募では「専門家活用枠」のみの公募となっています。)
事業承継・M&A補助金の対象となる事業承継・M&Aは、以下の通りです。
類型 | 概要 | 補助対象者 |
---|---|---|
親族内承継 | 経営者が親族に事業を承継する場合 | 後継者となる親族 |
従業員承継 | 経営者が従業員に事業を承継する場合 | 後継者となる従業員 |
M&A | 第三者に事業を売却・譲渡する場合(合併、買収、事業譲渡など) | 売却企業、買収企業 |
さらに、それぞれの類型において、具体的な要件が定められています。例えば、M&Aの場合、M&A支援機関登録制度に登録されたM&Aアドバイザーや仲介業者を利用することが条件となります。また、補助対象となる経費も類型ごとに異なります。詳しくは最新の公募要領をご確認ください。
2. 事業承継・M&A補助金(11次公募)の概要事業承継・M&A補助金11次公募は、中小企業の事業承継やM&Aを支援するための補助金制度です。11次公募では、専門家活用枠のみの募集となります。本補助金を活用することで、M&Aに関する専門家費用を補助対象とし、円滑な事業承継・M&Aの実現を支援します。
2.1 11次公募のポイント11次公募のポイントは、以下のとおりです。
- 専門家活用枠のみの募集
- 補助対象期間開始前の専門家契約は補助対象外
- 相見積もり取得の条件変更
補助対象となる経費は、M&A支援機関登録制度に登録されたファイナンシャルアドバイザー(FA)またはM&A仲介業者に支払う手数料、セカンドオピニオン費用、デューデリジェンス費用等です。
M&A支援機関登録制度に登録されたFAまたはM&A仲介業者によるFAまたはM&A仲介費用以外は補助対象となりませんのでご注意ください。
類型 | 補助率 | 補助上限額 |
---|---|---|
売り手支援 | 1/2または2/3 | 800万円 |
買い手支援 | 1/3, 1/2 または 2/3 | 2000万円 |
買い手支援の場合、補助率はM&Aの形態や従業員規模によって変動します。詳細については、公募要領をご確認ください。
3. 事業承継・M&A補助金11次公募のスケジュール事業承継・M&A補助金11次公募のスケジュールは、以下の通りです。2025年4月18日(金)に公開された公募要領に基づいており、確定版の情報です。ただし、今後の状況変化により変更される可能性もあるため、最新情報は中小企業庁のウェブサイト等で確認することをお勧めします。
項目 | 日程 |
---|---|
公募申請期間 | 2025年5月9日(金)~2025年6月6日(金)17:00 |
補助事業期間 | 2025年7月(上旬予定)から約12ヶ月間を想定 |
上記スケジュールは、専門家活用枠に関するものです。11次公募では、専門家活用枠のみの募集となっています。補助事業期間開始前に専門家と契約した場合、補助対象経費として認められないため、注意が必要です。また、補助事業期間中に専門家への発注と支払いを完了する必要があります。
公募開始前にM&A仲介業者と専任契約を締結していた場合でも、相見積もりの取得が原則必要となるなど、10次公募から変更点があります。詳細なスケジュールや要件については、中小企業庁のウェブサイトで公開されている公募要領を参照ください。
4. 事業承継・M&A補助金11次公募の申請方法事業承継・M&A補助金11次公募の申請は、電子申請システムを通じて行います。申請にあたっては、必要な書類を揃え、期日までに提出する必要があります。また、申請時の注意点も理解しておくことが重要です。
4.1 申請に必要な書類申請に必要な書類は、公募要領に記載されています。主な書類は以下のとおりです。ただし、申請する類型や個別の状況によって必要な書類が異なる場合があるため、必ず公募要領を確認してください。
書類名 | 内容 |
---|---|
事業承継・M&A補助金交付申請書 | 補助金の交付を申請するための書類です。必要事項を記入し、押印が必要です。 |
事業計画書 | 事業承継・M&Aの目的、内容、スケジュール、費用などを具体的に記載した書類です。 |
見積書 | 補助対象経費に関する見積書です。原則として、2社以上の相見積もりが必要です。 |
登記事項証明書 | 法人の登記事項証明書です。申請する法人の情報が確認できる最新のものを提出します。 |
直近3期分の決算書 | 申請する法人の財務状況を確認するための書類です。 |
誓約書 | 補助金の交付を受けるにあたり、必要な事項を誓約するための書類です。 |
事業承継・M&A補助金の申請は、専用の電子申請システムを通じて行います。システムの操作方法については、公募要領に詳しく説明されているほか、操作マニュアルなども提供されています。
初めて利用する場合は、事前にシステムの動作確認を行うことを推奨します。申請期間中はアクセスが集中し、システムが繋がりにくくなる可能性もあるため、余裕を持って申請手続きを進めることが重要です。
主な手順は以下のとおりです。
- 電子申請システムにアクセスし、アカウントを作成する。
- 必要な書類を電子データとして準備する。
- 申請フォームに必要事項を入力し、準備した書類をアップロードする。
- 入力内容とアップロードした書類を確認し、申請を確定する。
申請時には、以下の点に注意してください。
- 申請期間を厳守すること。締め切り間際はシステムが混雑する可能性があるため、余裕を持って申請を行うことが重要です。
- 必要書類を漏れなく提出すること。不足書類があると申請が受け付けられない場合があります。
- 記入漏れや誤りがないように注意すること。入力内容に誤りがあると、審査に影響する可能性があります。
- 電子申請システムの操作方法を事前に確認しておくこと。操作に不慣れな場合は、サポート窓口に問い合わせることも可能です。
- 補助対象経費の要件を満たしていることを確認すること。補助対象とならない経費が含まれていると、減額や不採択となる可能性があります。
- 公募要領をよく読んで、内容を理解した上で申請を行うこと。不明点があれば、事務局に問い合わせることをお勧めします。
事業承継・M&A補助金について、よくある質問をまとめました。
5.1 申請資格についてQ. どのような企業が申請できますか?
A. 中小企業基本法第2条に定義される中小企業が申請可能です。業種ごとの資本金または出資総額、従業員数の要件を満たしている必要があります。詳細は公募要領をご確認ください。
Q. 個人事業主は申請できますか?
A. はい、申請可能です。ただし、「個人事業の開業届出書」および「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出した日から5年が経過していること、確定申告書Bと所得税青色申告決算書の写しを提出できることが条件となります。
Q. 医療法人や社会福祉法人は申請できますか?
A. いいえ、医療法人、社会福祉法人、一般社団法人、学校法人などは申請対象外です。株式会社、有限会社、合同会社、合資会社、合名会社、個人事業主が申請可能です。
5.2 補助対象経費についてQ. どのような経費が補助対象になりますか?
A. 11次公募では「専門家活用枠」のみの募集となっており、M&A支援機関登録制度に登録されたM&Aアドバイザーや仲介業者に支払う手数料、セカンドオピニオン費用、デューデリジェンス費用などが補助対象となります。補助率は2/3または1/2で、補助上限額は800万円です。ただし、補助対象期間開始前に専門家と契約している場合は補助対象経費になりませんのでご注意ください。
Q. 相見積もりは必ず必要ですか?
A. 原則として、補助対象経費には2社以上の相見積もりが必要です。ただし、公募要領に記載されている例外事項に該当する場合は、相見積もりが不要となる場合があります。11次公募では、以前認められていた「公募開始前にFA・M&A仲介業者と専任条項がある委任契約を締結している場合」は相見積取得不要の条件から除外されていますのでご注意ください。詳細は公募要領をご確認ください。
5.3 申請手続きについてQ. 申請方法は?
A. 電子申請システムを利用して申請します。必要書類を準備し、システムの指示に従って入力、アップロードしてください。具体的な操作方法は、公募要領や電子申請システムのヘルプなどを参照ください。
Q. 申請時の注意点は?
A. 申請期間の厳守、必要書類の漏れや不備がないことの確認、申請内容の正確な記載など、基本的な事項に注意が必要です。また、過去の補助金申請で賃上げなどの要件が未達成の場合、減点対象となる可能性があります。虚偽の申請は補助金の返還やペナルティの対象となりますので、正確な情報を提供するようにしてください。
Q. 申請後、交付決定まではどのくらいかかりますか?
A. 申請から交付決定までは、数ヶ月かかる場合があります。審査状況によって前後する可能性がありますので、余裕を持って申請するようにしてください。具体的なスケジュールは、公募要領や事務局からの連絡をご確認ください。
Q. 採択率はどのくらいですか?
A. 過去の採択率は公表されていますが、あくまで参考値です。11次公募の採択率は、応募状況や審査内容によって変動します。確実な採択を目指すためには、申請要件を満たしているか、加点事由を満たせるかなどを確認し、申請内容を充実させることが重要です。加点事由に該当する場合は、証明資料を準備して提出しましょう。
類型 | 申請件数 | 採択件数 | 採択率 |
---|---|---|---|
経営革新事業 | 313件 | 190件 | 60.7% |
専門家活用事業 | 498件 | 299件 | 60.0% |
廃業・再チャレンジ事業 | 28件 | 10件 | 35.7% |
※上記は令和5年度補正予算「事業承継・引継ぎ補助金」の採択率です。11次公募の採択率は変動する可能性があります。
6. まとめ事業承継・M&A補助金11次公募の概要、スケジュール、申請方法について解説しました。11次公募では、中小企業の事業承継やM&Aを支援するために、様々な経費が補助対象となります。
申請にあたっては、補助対象経費、補助率、補助上限額などを確認し、必要な書類を揃えて電子申請システムから申請する必要があります。スケジュールも確認し、期限内に申請を完了させましょう。
事業承継・M&Aを検討している企業にとって、この補助金は大きな力となる可能性があります。ぜひ活用を検討してみてください。