M&Aにおける財務諸表分析|買い手が注目する"数字の本質"とは?
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公開日:2025年3月21日最終更新日:2025年6月11日
M&Aを成功させるためには、財務諸表分析が不可欠です。この記事では、M&Aにおける財務諸表分析の重要性と、買い手が特に注目するポイントを解説します。
損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書の役割と見方、M&A特有の財務KPIであるEBITDAや正常収益力の算出方法、財務リスクへの対応策などを網羅的に解説。さらに、財務デューデリジェンスで重視されるポイントや、財務諸表から企業価値を読み解く実践的な方法を学ぶことで、M&Aを有利に進めるための知識と戦略を習得できます。
この記事を読み終える頃には、財務諸表を武器に、M&Aのプロセスを自信を持って進められるようになるでしょう。
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編集者の紹介
株式会社M&A PMI AGENT
代表取締役 日下部 興靖
上場企業のグループ会社の取締役を4社経験。M&A・PMI業務・経営再建業務などを10年経験し、多くの企業の業績改善を行ったM&A・PMIの専門家。3か月の経営支援にて期首予算比で売上1.8倍、利益5倍などの実績を持つ。
1. なぜM&Aに財務諸表分析が欠かせないのか
M&A(合併・買収)において、財務諸表分析は欠かせないプロセスです。M&Aは企業にとって大きな転換期であり、その成否は対象企業の価値を正しく評価できるかどうかにかかっています。財務諸表分析を行うことで、企業の財務状況、収益性、安全性、将来性などを客観的に把握し、M&Aにおける意思決定の精度を高めることができるのです。
1.1 財務諸表は企業の"健康診断書"財務諸表は、企業の財務状態を一定の期間におけるスナップショットとして、または一定期間の活動の結果として数値化し、体系的にまとめたものです。いわば企業の"健康診断書"と言えるでしょう。財務諸表を読み解くことで、企業の財務状況の良し悪しを判断し、M&Aにおける適切な意思決定を行うための材料を得ることができます。
1.1.1 損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書の役割財務諸表は主に、以下の3つの書類から構成されます。
財務諸表 | 内容 | M&Aにおける活用ポイント |
---|---|---|
損益計算書(P/L) | 一定期間の収益と費用、最終的な利益を示す | 収益性、利益の質、費用構造などを分析し、企業の収益力を評価 |
貸借対照表(B/S) | 特定時点における資産、負債、純資産を示す | 財務体質の健全性、資産効率、資金調達方法などを分析し、企業の安定性を評価 |
キャッシュフロー計算書(C/F) | 一定期間のキャッシュの流入と流出を示す | 資金繰りの状況、収益性とキャッシュフローの関連性などを分析し、企業の持続可能性を評価 |
これらの財務諸表は、単に数字が並んでいるだけでなく、企業の経営の実態を映し出しています。例えば、売上高の推移は市場における競争力や成長性を示し、利益率は経営効率や価格競争力を示唆します。
また、負債比率は財務リスク、キャッシュフローは資金繰りの健全性を示す指標となります。これらの数字を多角的に分析することで、企業の強みや弱み、リスクやチャンスをより深く理解することが可能になります。
M&Aにおいて、買い手は財務諸表分析を通じて、買収対象企業の価値を評価し、投資判断を行います。財務諸表に隠されたリスクを見抜き、将来の収益性を予測することで、適切な買収価格を決定し、M&A後の経営戦略を立案することが重要です。
1.2.1 買い手が重視する3つの財務観点買い手が重視する主な財務観点は以下の3つです。
- 収益性:安定した収益を上げられるか
- 安全性:健全な財務体質か
- 成長性:将来的な発展が見込めるか
粉飾決算などの不正リスク以外にも、財務諸表には様々なリスクが潜んでいます。例えば、過大な債務、不良在庫、過剰な設備投資、訴訟リスクなど、数字だけでは見えてこないリスクも存在します。
買い手は、財務諸表を詳細に分析するだけでなく、デューデリジェンスなどを通じて、これらの潜在的なリスクを洗い出し、適切な対策を講じる必要があります。
M&Aにおいては、買い手だけでなく、売り手にとっても財務諸表分析は重要です。自社の財務状況を正確に把握し、強みと弱みを理解することで、M&A交渉を有利に進めることができます。
1.3.1 財務に強い売り手は信頼される売り手が自社の財務状況をしっかりと理解し、説明できることは、買い手からの信頼獲得につながります。財務諸表に基づいた論理的な説明は、企業価値に対する理解を深め、交渉をスムーズに進める上で大きな武器となります。
1.3.2 説明できる経営者が価格交渉で有利に財務状況を理解し、説明できる経営者は、価格交渉においても有利な立場に立つことができます。自社の強みを数字で示し、将来の成長性を明確に伝えることで、適正な価格でのM&Aを実現できる可能性が高まります。
【関連】M&A譲渡の準備内容とは?スケジュールと成功のためのポイント2. 財務諸表分析の基本──M&A前に押さえておくべき見方
M&Aを成功させるためには、財務諸表を正しく分析し、企業の価値を適切に評価することが不可欠です。ここでは、M&A前に必ず押さえておくべき財務諸表分析の基本的な見方について解説します。
財務諸表には、損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書の3種類があり、それぞれ異なる情報を提供しています。これらを総合的に分析することで、企業の財務状況や収益性、安全性などを多角的に把握することができます。
損益計算書は、一定期間の企業の経営成績を示すもので、売上高から費用を差し引いて利益を算出します。単に黒字かどうかだけでなく、利益の質にも注目することが重要です。利益の質を見るための代表的な指標として、粗利率、営業利益率、経常利益率があります。
2.1.1 単なる「黒字」では安心できない理由黒字であっても、本業以外の一時的な利益によって達成されている場合や、粉飾決算の可能性も考えられます。持続的な収益力があるかどうかの判断は、M&Aにおいて非常に重要です。
2.1.2 粗利率・営業利益率・経常利益率の注目ポイントこれらの指標を見ることで、企業の本業の収益性や効率性、安定性を評価できます。それぞれの指標の推移や業界平均との比較を行うことで、企業の強みや弱みを把握できます。
指標 | 計算式 | 注目ポイント |
---|---|---|
粗利率 | (売上高 - 売上原価) ÷ 売上高 × 100 | 製品やサービスの価格設定の妥当性、原価管理の効率性 |
営業利益率 | 営業利益 ÷ 売上高 × 100 | 本業の収益性、販売管理費の効率性 |
経常利益率 | 経常利益 ÷ 売上高 × 100 | 本業以外の収益も含めた、企業全体の収益性 |
貸借対照表は、特定時点における企業の財政状態を示すもので、資産、負債、純資産で構成されます。貸借対照表からは、企業の財務体質の健全性や安全性、資金の運用状況などを分析することができます。
2.2.1 自己資本比率と流動比率の意味自己資本比率は、総資産に占める自己資本の割合を示し、企業の財務安定性を評価する指標です。流動比率は、流動資産を流動負債で割った値で、短期的債務に対する支払能力を示します。
2.2.2 過剰在庫・貸倒リスクの見つけ方在庫の回転率や貸倒引当金の推移をチェックすることで、過剰在庫や貸倒リスクの有無を判断できます。これらのリスクは、将来の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
2.3 キャッシュフロー計算書:資金繰りの真実キャッシュフロー計算書は、一定期間における企業の現金の出入りを示すもので、営業活動、投資活動、財務活動の3つの区分で現金の流れを把握できます。会計上の利益は必ずしも現金の増加を意味するわけではないため、キャッシュフロー計算書を確認することで、実際の資金繰りの状況を把握することが重要です。
2.3.1 会計上の利益と現金のズレに注意例えば、売掛金が増加した場合、売上高は計上されますが、実際の現金の入金はまだ行われていません。このように、会計上の利益と現金の動きにはズレが生じるため、キャッシュフロー計算書で実際の資金の流れを確認する必要があります。
2.3.2 営業キャッシュフローがマイナスの企業とは?営業キャッシュフローがマイナスであるということは、本業で現金を生み出せていないことを意味します。持続的にマイナスが続いている場合は、資金繰りの悪化に繋がる可能性が高いため、注意が必要です。その原因を分析し、改善策を検討する必要があります。
【関連】M&Aにおけるフリーキャッシュフロー(FCF)の意味・計算方法・用途を解説【企業価値評価の鍵!】3. M&Aにおける財務諸表分析の実践──数字の「真意」を読み解く
M&Aを成功させるためには、財務諸表の表面的な数字だけでなく、その背後にある企業の実態を理解することが重要です。ここでは、M&A特有の財務諸表分析の実践方法を解説します。
3.1 正常収益力の把握がカギM&Aにおいては、対象企業の持続可能な収益力である「正常収益力」を把握することが不可欠です。一時的な要因で変動する利益ではなく、将来にわたって安定的に期待できる収益水準を見極める必要があります。
3.1.1 一時的な売上・経費を排除する方法過去数年間の財務諸表を分析し、突発的な売上や経費、例えば災害による損失や特別損失などを特定し、それらを除外することで、正常収益力を算出します。また、景気変動の影響も考慮し、業績の波を平準化する必要があります。
3.1.2 オーナー報酬・関連会社取引の調整オーナー企業の場合、オーナーへの過大な報酬や、関連会社との不透明な取引が行われている可能性があります。これらの取引を市場価格に修正することで、より実態に近い収益力を把握できます。
例えば、オーナーの役員報酬が相場よりも高い場合は、適正な水準に調整します。また、関連会社への売上が不当に高い場合は、市場価格に基づいて調整する必要があります。
M&Aにおいては、特定の財務指標(KPI)が重視されます。これらの指標を理解し、適切に分析することで、企業価値を正しく評価できます。
KPI | 意味 | M&Aにおける重要性 |
---|---|---|
EBITDA | 利払い前・税引き前・減価償却前利益 | 事業本来の収益力を示す指標として、企業価値評価のベースとなる |
営業CF | 営業活動によるキャッシュフロー | 本業で稼ぐ現金創出力を見る指標。M&A後の返済能力を評価する際に重要 |
ROE | 自己資本利益率 | 株主資本がどれくらい効率的に利益を生み出しているかを示す指標。投資効率を判断する際に重要 |
EBITDAは、企業の収益力を示す重要な指標です。減価償却費や支払利息などの非現金項目の影響を除外することで、事業本来の収益力を把握できます。営業CFは、本業で稼ぐ力、つまり企業のキャッシュ創出能力を測る指標です。
M&A後の債務返済能力を評価する上で重要となります。ROEは、株主が出資した資本に対して、どれだけの利益を生み出しているかを示す指標です。投資効率を判断する際に重要な指標となります。
買い手は、過去の業績だけでなく、将来の成長性も重視します。市場の成長性、競争環境、経営陣の能力などを分析し、将来の収益力やキャッシュフローを予測します。財務諸表分析に加えて、事業計画や業界動向なども総合的に判断材料となります。
3.3 財務諸表分析で"売れる会社"に変える方法売り手は、財務諸表分析を経営改善に役立て、企業価値を高めることができます。
3.3.1 事前に改善できる「見せ方」の工夫財務諸表の見せ方を工夫することで、買い手に好印象を与えることができます。例えば、売上原価を適切に分類し、粗利率を改善したり、不要な経費を削減することで利益率を高めたりするなど、財務内容をより魅力的に見せることができます。また、財務諸表の注記を充実させることで、透明性を高めることも重要です。
3.3.2 専門家に頼るべきポイントと注意点財務諸表分析やM&Aに関する専門知識を持つ、公認会計士やM&Aアドバイザーなどの専門家に相談することで、より客観的な分析結果を得ることができます。専門家は、財務デューデリジェンスの実施や、企業価値評価、交渉戦略の立案など、M&Aプロセス全体をサポートしてくれます。専門家を選ぶ際には、実績や費用などを比較検討することが重要です。
【関連】M&Aのリスク管理:成功へと導く徹底対策と事例|失敗回避のポイント4. 買い手が不安を感じる財務上のリスクとは
M&Aにおいて、買い手は財務諸表から様々なリスクを読み取ろうとします。粉飾決算でなくても、財務諸表の「違和感」は、買い手の不安を煽り、最悪の場合、M&A自体が破談になる可能性もあります。買い手が特に注意深くチェックするポイントを理解し、事前に対策を講じることで、スムーズなM&Aを実現できるでしょう。
4.1 「粉飾ではないが怪しい」数字の特徴財務諸表の不正は論外ですが、適正な会計処理が行われていても、買い手が「何かおかしい」と感じるポイントはいくつかあります。これらは、必ずしも不正を表すものではありませんが、その背景を丁寧に説明できなければ、買い手の不信感を招きかねません。
4.1.1 異常な売上増・急激な利益変動の裏側急激な売上増加や利益変動は、事業の成長を示す一方で、持続可能性に疑問符が付く場合もあります。特別な要因による一時的な効果でないか、その根拠を明確に説明できる必要があります。例えば、大型契約の獲得、一時的な補助金収入、棚卸資産評価方法の変更などは、持続的な収益力とは言い難いため、注意が必要です。
4.1.2 在庫評価や減価償却の盲点在庫評価や減価償却は、会計処理の方法によって利益を操作できる可能性があるため、買い手は注意深く確認します。例えば、在庫評価方法を先入先出法から後入先出法に変更した場合、物価上昇局面では利益が圧縮されるため、その理由を説明できなければ、買い手に不信感を与えてしまいます。また、減価償却費も、耐用年数を変更することで利益を調整できるため、設定根拠を明確にする必要があります。
4.2 財務上のリスクを事前にどう対応するか財務諸表にリスクが潜んでいる場合、どのように対応すれば良いのでしょうか。重要なのは、問題点を隠蔽するのではなく、透明性を持って説明することです。早期にリスクを認識し、適切な対応策を講じることで、買い手の信頼獲得に繋がるでしょう。
4.2.1 債務超過・過大借入・担保付き資産債務超過や過大な借入は、企業の財務体質の脆弱性を示すため、M&Aにおいて大きなマイナス要因となります。買い手は、これらの問題点をどのように解消していくのか、具体的な計画を求めるでしょう。また、担保付き資産は、資金調達の自由度を制限するため、その状況を明確に開示する必要があります。
財務リスク | 対応策 |
---|---|
債務超過 | 債務圧縮計画の策定、資本増強 |
過大借入 | 借入金の返済計画、借り換え |
担保付き資産 | 担保状況の明確な開示、担保解除の交渉 |
関係会社との取引やオフバランス項目は、財務内容を複雑にし、透明性を低下させる要因となります。買い手は、これらの項目が適切に処理されているか、リスクが潜んでいないかを厳しくチェックします。関係会社との取引条件の見直しや、オフバランス項目のオンバランス化など、透明性を高めるための取り組みが重要です。
4.3 信頼を得るための「予測財務」の活用将来の業績見通しを示す予測財務諸表は、買い手に企業の成長性や収益性をアピールする上で有効なツールです。信頼性の高い予測財務諸表を作成することで、M&A交渉を有利に進めることができるでしょう。
4.3.1 3年分の業績計画は作成しておくべきか?一般的に、M&Aでは3年程度の業績計画が求められます。将来の収益性やキャッシュフローを予測することで、企業価値の算定根拠を明確にすることができます。ただし、予測はあくまでも予測であり、過度に楽観的な見通しは逆効果となる可能性があるため、現実的な数値に基づいて作成する必要があります。
4.3.2 将来キャッシュフローで価格が変わる理由M&Aにおける企業価値評価は、将来キャッシュフローに基づいて行われます。将来の収益性が高いと判断されれば、企業価値は高くなります。逆に、将来の収益性に不安がある場合は、企業価値は低くなります。そのため、信頼性の高い予測財務諸表を作成し、将来のキャッシュフローを明確に示すことが重要です。
【関連】M&Aでの価格交渉|売り手・買い手の妥協点を見つける方法とは?5. 財務諸表分析を経営改善と企業価値向上に活かす
財務諸表分析は、M&Aの場面だけでなく、企業の経営改善や価値向上にも役立ちます。数字を通して自社の現状を客観的に把握することで、具体的な改善策を導き出すことができます。
5.1 M&Aのためだけでない財務分析の効用財務諸表分析は、M&Aの準備段階だけでなく、日々の経営管理にも活用できます。財務諸表を定期的に分析することで、企業の強みと弱みを明確化し、今後の経営戦略に活かすことができます。
5.1.1 自社の強み・弱みが数字でわかる損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書を分析することで、収益性、安全性、効率性など、多角的な視点から自社の現状を把握できます。例えば、高い粗利率は競争力の強さを示す一方、低い流動比率は資金繰りの脆弱性を示唆します。これらの数字を分析することで、強みをさらに伸ばし、弱みを克服するための具体的な施策を立てることができます。
5.1.2 資金繰り・コスト構造・事業の見直しへ活用財務諸表分析は、資金繰り改善、コスト削減、事業ポートフォリオの見直しなど、様々な経営課題の解決に役立ちます。例えば、キャッシュフロー計算書を分析することで、資金不足の原因を特定し、適切な資金調達計画を立てることができます。また、原価計算や損益分岐点分析と組み合わせることで、コスト構造の問題点を洗い出し、効率的なコスト削減策を検討することができます。
5.2 中小企業でもできる財務管理のステップ財務管理は、大企業だけのものではありません。中小企業でも、簡単なステップで財務管理を始め、経営改善に繋げることができます。
5.2.1 月次決算とKPIのチェック体制月次決算を実施し、主要なKPI(重要業績評価指標)を定期的にチェックすることで、経営状況の変化を早期に把握できます。重要なKPIには、売上高、粗利率、営業利益率、ROE(自己資本利益率)、ROA(総資産利益率)、D/Eレシオ(負債資本比率)などがあります。これらの指標をモニタリングすることで、問題発生時の迅速な対応が可能になります。
KPI | 意味 | 注目ポイント |
---|---|---|
売上高 | 一定期間の売上高 | 前年同期比、目標値との比較 |
粗利率 | 売上高に占める粗利益の割合 | 業界平均との比較、価格競争力 |
営業利益率 | 売上高に占める営業利益の割合 | 本業の収益性 |
ROE | 自己資本に対する当期純利益の割合 | 株主への利益還元 |
ROA | 総資産に対する当期純利益の割合 | 資産の運用効率 |
D/Eレシオ | 自己資本に対する負債の割合 | 財務の健全性 |
経理担当者は、正確な財務データの作成と報告を行い、経営者はそのデータに基づいて意思決定を行う必要があります。両者が密に連携し、財務情報を共有することで、より効果的な経営改善を実現できます。例えば、定期的なミーティングで財務状況を共有し、今後の経営戦略について議論する場を設けることが重要です。
5.3 数字を理解する経営者がM&Aを制する財務諸表を理解し、適切に活用できる経営者は、M&Aにおいても有利な立場に立つことができます。財務情報を武器に、交渉を有利に進め、企業価値の最大化を目指しましょう。
5.3.1 「説明できる数字」が信頼を生むM&Aにおいては、買い手に対して自社の財務状況を正確に説明することが重要です。根拠のある数字を示し、将来の展望を明確に伝えることで、買い手の信頼を得ることができます。また、財務デューデリジェンスにもスムーズに対応できるため、M&Aプロセスを円滑に進めることができます。
5.3.2 財務諸表は"売れる会社"の第一歩財務状況の改善は、企業価値向上に直結します。健全な財務体質を構築し、持続的な成長を実現することで、「売れる会社」へと進化させることができます。財務諸表分析は、そのための第一歩となるでしょう。
【関連】M&Aで高く売る方法|事業価値最大化の秘訣と落とし穴を徹底解説6. まとめ
M&Aを成功させるには、財務諸表分析が不可欠です。買い手は財務諸表から企業の価値を評価し、リスクを見抜きます。売り手も財務諸表を理解することで、適正な価格交渉や信頼獲得に繋がります。
損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書を読み解き、正常収益力や財務KPIを把握することで、企業の真の姿を理解できます。財務上のリスクに適切に対応し、予測財務情報を活用することで、M&Aプロセスをスムーズに進めることが可能です。
財務諸表分析はM&Aだけでなく、経営改善や企業価値向上にも役立ちます。数字を理解する経営者が、M&Aを制し、企業の成長を実現できるでしょう。