事業承継の2025年問題・廃業をどう考える?後継者不在の会社が選ぶ道

事業承継の2025年問題・廃業をどう考える?後継者不在の会社が選ぶ道

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公開日:2024年8月19日
最終更新日:2026年8月10日

事業承継の2025年問題は、予測の期限を過ぎた現在も廃業や雇用に影響しています。後継者不在の会社が今確認すべき選択肢と準備の順番を整理します。

1. 2025年問題で迫る事業承継難と廃業リスク

2025年問題とは、団塊世代が75歳以上となり、経営者の高齢化と後継者不在が同時に進む問題です。過去には、経営者が70歳以上の企業が約245万社に達し、対策を講じなければ約650万人の雇用と22兆円のGDPが失われると試算されました。

ただし、約245万社、650万人、22兆円は将来の条件付き試算です。2025年の実績とは対象範囲が異なるため、予測値と調査会社が集計した休廃業・解散件数を分けて確認する必要があります。

【文脈】2025年問題の予測値と2025年の実績値を混同しないため 1-1. 団塊世代の高齢化が経営者交代を促す背景

団塊世代は2025年に75歳以上となり、引退や健康上の制約が経営判断に影響しやすくなります。経営者が交代をためらう理由には、株式や借入の整理、従業員への説明、取引先との関係維持があります。

後継者候補がいても、経営理念や技能、人脈を移すには時間が必要です。代表者が意思決定を一人で担う会社ほど、交代準備の開始が遅れると承継そのものが難しくなります。

1-2. 予測された損失と2025年実績を分けて読む方法

過去の試算は、一定割合の企業や個人事業主が廃業する前提で、将来の累計影響を計算したものです。一方、2025年の調査は、特定期間に確認された企業の状態を集計した実績値です。

比較時は、対象が法人だけか個人事業主を含むか、倒産を含むか、調査時点がいつかを確認します。異なる母集団の数値を並べると、実態より大きく、または小さく判断する原因になります。

1-3. 休廃業と倒産を区別して廃業実態を把握する

倒産は、破産や民事再生などの法的整理を伴う状態です。休廃業は特段の法的整理をせず企業活動を停止した状態、解散は商業登記などで法人の解散を確認した状態を指します。

休廃業・解散には、赤字で資金が尽きた会社だけでなく、資産を残したまま閉じる会社も含まれます。帝国データバンクの2025年1〜8月調査では、件数は4万7078件、資産超過型は64.1%でした。

1-4. 廃業が地域雇用と取引先へ波及する仕組み

廃業すると従業員の雇用が失われ、地域の顧客は代替サービスを探すことになります。仕入先は売上を失い、販売先は商品や部品の調達先を変更しなければなりません。

借入返済や保証整理が遅れれば、金融機関との協議も難しくなります。特定企業への依存度が高い取引先ほど、取引停止、資金繰り悪化、連鎖廃業へ進む経路が明確です。

2. 自社の事業承継と廃業リスクを診断する視点

廃業リスクは、経営者の年齢だけで決まりません。後継者、組織、財務、事業の再現性を一つずつ確認すると、どの承継方法を優先すべきか判断できます。

次の質問に「はい」が3つ以上ある場合は、承継準備を経営課題として扱う段階です。特に「引退時期が未定」は、準備を先送りする会社に共通するサインです。

  • 親族、役員、従業員、社外のいずれにも後継者候補がいない

  • 経営者が60歳以上で、引退希望時期を決めていない

  • 主要従業員の退職予定や技能の保有者を把握していない

  • 借入、個人保証、担保、簿外債務を一覧化していない

  • 顧客、仕入先、営業ノウハウが経営者個人に集中している

  • 許認可や資格者が一人しかおらず、代替できない

2-1. 後継者不在と経営者高齢化を同時に確認する

まず親族内承継、親族外承継、第三者承継の順に候補を洗い出します。候補者がいる場合も、財務、営業、労務、金融機関対応を経験する育成計画がなければ、実質的な後継者不在と同じです。

経営者は引退希望時期を年単位で設定し、候補者の年齢、能力、家族の同意、株式取得の可能性を確認します。主要従業員の年齢構成も、承継後の運営力を測る重要な材料です。

2-2. 業種別に異なる人材不足と許認可の承継課題

製造業では技能者の退職、設備の老朽化、特定顧客への依存が論点です。買い手は、工程を標準化できるか、設備投資額はいくらか、熟練者が退職しても品質を維持できるかを確認します。

建設業では許認可、資格者、完成工事の採算管理が重要です。小売業は商圏、店舗契約、在庫回転、サービス業は顧客基盤と人材への依存度が評価を左右します。

2-3. 従業員規模で変わる承継準備と資金負担

従業員5人規模では、経営者と主要担当者の属人性を解消することが優先です。株式取得資金や運転資金の確保も、後継者個人の負担になりやすい論点です。

300人規模では、株主構成、退職金、労働条件、管理職層、雇用維持を組織的に整理します。規模が大きいほど、代表者一人の引退ではなく、経営会議や権限規程の移行が必要です。

2-4. 債務超過と経営者保証が選択肢を狭める要因

債務超過、担保不足、個人保証、未整理の簿外債務は、親族内承継や従業員承継の障壁になります。後継者が会社を引き継ぐと同時に、返済責任まで背負う可能性があるためです。

借入残高、返済条件、保証人、担保、リスケジュールの有無を一覧にし、早い段階で金融機関へ相談します。M&Aでも、既存保証の解除や新経営者への保証要求を契約前に確認することが重要です。

【文脈】自社の事業承継リスクを診断する章で 3. 親族承継からM&Aまで廃業回避の選び方

承継方法は、誰に引き継ぐかだけでなく、雇用、株式、保証、準備期間を比較して決めます。親族に適任者がいない場合、従業員承継やM&Aを検討することが廃業回避につながります。

方法

主な特徴

適する状況

親族内承継

株式と経営権を家族へ移す

後継者の意思と育成期間がある

従業員承継

現場理解を持つ人材が引き継ぐ

経営能力と株式取得資金を確保できる

M&A・第三者承継

会社または事業を外部へ譲渡する

親族・社内に候補者がいない

円満廃業

資産と契約を整理して閉じる

買い手が見込めず、債務返済が可能

3-1. 親族内承継で株式と経営権を移す手順

最初に後継者の意思を確認し、次に現場、営業、財務、金融機関対応を経験させます。その後、株主構成、株式評価、贈与や相続、他の親族との調整を進めます。

事業承継税制を検討する場合も、先に株式と財務情報を整理します。適用要件や期限は制度改正の影響を受けるため、税理士と最新の公的情報を確認します。

3-2. 従業員承継で資金調達と保証を確認する

候補者の経営能力だけでなく、株式取得資金、議決権、融資可能性、経営者保証を確認します。現場責任者を後継者にする場合、権限だけ増えて処遇や報酬が変わらない問題も起こります。

承継前に役職、決裁範囲、報酬、株式取得方法を文書化します。金融機関には事業計画と返済計画を示し、後継者が過大な保証を負わない条件を協議します。

3-3. M&Aで雇用と取引を引き継ぐ条件

M&Aは、買い手探索、企業価値評価、秘密保持、デューデリジェンス、基本合意、最終契約、クロージングの順で進みます。案件によっては相手探しだけでなく、資料整理や条件交渉にも時間がかかります。

比較するのは価格だけではありません。雇用維持、取引先との契約、ブランド、設備、経営者保証、引継ぎ期間を条件に含めます。価格が高くても、条件や費用を差し引くと手取りが少なくなる場合があります。

3-4. 円満廃業と前向きなM&Aを分ける基準

採算性、買い手の見込み、債務返済、従業員の再就職、取引先への告知、保証整理を並べて判断します。事業に技術、顧客、許認可、地域性が残るなら、廃業決定前に第三者承継を確認する余地があります。

一方、設備更新費が大きく、買い手候補がなく、債務返済も見通せない場合は、円満廃業の計画を立てます。廃業は失敗ではなく、資産と雇用への影響を抑える経営判断になり得ます。

4. 事業承継の準備時期と公的支援の使い分け

事業承継は、引退直前に始める手続きではなく、会社の価値を整えながら選択肢を増やす経営活動です。後継者育成なら数年、M&Aなら相手探しから契約までの期間を見込み、早めに動きます。

4-1. 引退時期から逆算する承継準備の時系列

引退の数年前に現状分析と候補者選定を始め、次に育成、株式・資産整理、会社の磨き上げを進めます。M&Aの場合は、資料整備、買い手探索、秘密保持、調査、契約、引継ぎへ進みます。

  1. 現状分析:決算書、株主、借入、契約、許認可を整理

  2. 方針決定:親族、従業員、M&A、廃業を比較

  3. 実行準備:後継者育成、収益改善、属人性の解消

  4. 承継実行:株式移転、契約、引継ぎ、従業員説明

引退までの時間が短い場合は、候補者探しより先に財務と事業の可視化を優先します。資料が整っていなければ、専門家も金融機関も判断できません。

4-2. 後継者育成と人材確保を経営課題に変える

後継者には、財務諸表の読み方、営業、労務、採用、金融機関との面談を段階的に経験させます。会議への同席から始め、担当部門の決裁、予算管理、全社の意思決定へ権限を移します。

同時に、技能継承、採用、評価制度、定着施策を整えます。後継者だけを育てても、主要従業員が退職すれば事業は動きません。組織全体を承継対象として扱います。

4-3. 税制と補助金を申請前に確認する手続き

事業承継税制は、株式の贈与税や相続税に関する制度ですが、対象者、株式、雇用、申請期限などの要件があります。制度利用を前提に株式を動かすのではなく、税理士と適用可能性を確認します。

M&Aや事業承継関連の補助金は、対象経費、公募期間、申請者、採択後の実績報告を確認します。補助金は後払いの場合もあるため、先に資金繰りを作り、最新情報を公的機関で確認してください。

4-4. 支援センターと専門家へ相談する順番

初期相談は、事業承継・引継ぎ支援センター、自治体、商工会議所が適しています。金融機関は借入と保証、税理士は税務と株式、弁護士は契約と紛争、M&A支援機関は相手探しと交渉を担います。

相談時は、直近の決算書、試算表、株主名簿、借入一覧、担保・保証資料、主要契約、従業員構成を準備します。資料が揃うほど、親族承継、M&A、廃業の比較が具体的になります。

【文脈】引退時期から逆算した事業承継の準備手順を示す章で 5. 事業承継と廃業を迷う経営者のよくある質問 5-1. 後継者がいない会社は何年前から動くべきか

後継者候補がいない段階から、決算書、契約、顧客、技能を整理します。M&Aでは相手探しと調査に時間を要するため、引退希望時期を決めた時点で相談を始めるのが基本です。

5-2. 赤字や債務超過でもM&Aは検討できるか

赤字だけで可能性は決まりません。技術、人材、顧客、許認可、再生可能性が評価される場合があります。債務、簿外リスク、赤字の原因と改善策を整理することが前提です。

5-3. 承継後の経営者保証はどう確認するのか

既存保証の解除、新経営者への保証要求、担保の扱いを金融機関へ確認します。経営者保証に関するガイドラインの適用は個別事情で異なるため、決定前に専門家へ相談します。

5-4. 廃業を選ぶ場合に従業員へ何を伝えるか

説明時期、未払い賃金、退職手続き、再就職支援を整理し、突然の停止を避けます。取引先への通知、在庫・設備・契約の処理も、資金繰りと合わせて段階的に進めます。

6. おすすめ商品: 手取りを重視するならM&A PMI AGENTの特徴と選び方

会社売却や事業譲渡では、売却価格ではなく、仲介手数料、税金、実費、引継ぎ条件を差し引いた手取り額を確認する必要があります。手取りを重視するならM&A PMI AGENTは、この手取り額を基準にM&A仲介会社や料金体系を比較できるサービスです。

特徴は、初回相談、着手金、中間金が無料で、最低報酬は500万円〜とされている点です。譲渡価格だけでは比較しにくい最低報酬、成功報酬の計算方法、テール条項などを、仲介契約前に確認できます。

他社から提案書や見積りを受け取った経営者が、契約前にセカンドオピニオンを受ける用途にも対応します。買い手候補への打診、条件交渉、DD、最終契約、クロージングに加え、ビジネスDD、PMI、企業再生、経営改善まで含めて検討できる点が特徴です。

たとえば譲渡価格5,000万円の比較例では、最低報酬の差が最大1,500万円になるケースが示されています。実際の手取り額は譲渡スキーム、税金、実費、契約条件で変わるため、具体的な金額は個別相談で確認してください。

7. まとめ

事業承継の2025年問題は、2025年を過ぎて解消したのではありません。2025年1〜8月の休廃業・解散は4万7078件に達し、後継者不在、経営者・従業員の高齢化、人材不足が廃業リスクを押し上げています。

まず引退時期、後継者、財務、属人性、許認可を一覧化してください。そのうえで、親族内承継、従業員承継、M&A、円満廃業を比較し、事業承継・引継ぎ支援センターや税理士、金融機関へ早期に相談します。

黒字や資産超過の段階でも、承継準備を先送りすれば選択肢は減ります。会社を残す場合も閉じる場合も、従業員、取引先、地域への影響を抑える計画を、経営者が主導して作ることが重要です。

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編集者の紹介

日下部 興靖

株式会社M&A PMI AGENT

代表取締役 日下部 興靖

上場企業のグループ会社の取締役を4社経験。M&A・PMI業務・経営再建業務などを10年経験し、多くの企業の業績改善を行ったM&A・PMIの専門家。3か月の経営支援にて期首予算比で売上1.8倍、利益5倍などの実績を持つ。

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