整骨院の事業譲渡で確認すべき回数券・療養費請求・人材の引継ぎ

整骨院の事業譲渡で確認すべき回数券・療養費請求・人材の引継ぎ

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公開日:2024年10月27日
最終更新日:2026年8月10日

整骨院の事業譲渡は、廃業を避けて患者・スタッフ・設備を次の経営者へつなぐ選択肢です。譲渡価格だけでなく、契約、資格、療養費請求、回数券、譲渡後の運営まで確認する必要があります。

1. 整骨院を事業譲渡する判断と基本構造

整骨院の事業譲渡とは、法人そのものではなく、院の運営に必要な資産や契約、顧客基盤、スタッフなどを選別して第三者へ移す取引です。後継者不足や人材不足に直面した場合でも、患者が通う場所と雇用を残せる可能性があります。

M&Aには、事業譲渡のほか会社譲渡や合併があります。小規模な整骨院では、店舗単位で範囲を決めやすい事業譲渡が実務上検討されやすい傾向です。

  • 売り手:後継者がおらず、廃業費用やスタッフ解雇を避けたい

  • 売り手:経営から退き、施術者として残りたい

  • 買い手:新規開業より早く患者基盤と立地を確保したい

  • 買い手:有資格者や地域拠点を獲得し、多店舗化したい

柔道整復師の施術所は、2020年時点で柔道整復師75,786人、施術所50,364か所とされます。競争が激しい市場では、単に設備を買うのではなく、再現性のある運営体制を引き継げるかが判断の軸になります。

【文脈】整骨院の事業譲渡で 1-1. 廃業や親族承継と比べた譲渡の選択条件

廃業は原状回復、設備処分、スタッフ対応が必要になり、患者との関係も途切れます。親族や従業員に承継できない場合、第三者への事業譲渡なら、患者・設備・雇用を残しながら資金回収を目指せます。

ただし、譲渡には買い手が必要です。直近の赤字、院長への過度な依存、賃貸借契約の制約、未整理の回数券がある場合は、先に課題を整理します。

1-2. 事業譲渡と会社譲渡で変わる承継範囲

事業譲渡では、設備、屋号、ウェブサイト、患者情報、従業員、賃貸借契約などを項目ごとに移します。契約や債務は自動で移らず、相手方の承諾や個別契約が必要です。

会社譲渡は、法人の株式を譲渡して会社全体を引き継ぐ方法です。資産や契約を一括承継しやすい一方、過去の未払金や請求上の問題など、法人に残るリスクも買い手が引き継ぎます。

1-3. 買収と新規開業を分ける患者基盤と人材

買収では、立地、屋号、口コミ、予約導線、患者基盤、設備、スタッフを一度に取得できます。新規開業は自由度が高い反面、認知や来院実績をゼロから作る必要があります。

買い手は月商だけでなく、営業利益、有資格者数、勤続年数、院長不在でも回る割合を見ます。院長が年間売上の大半を作る院は、残留期間と退任後の収益変動を価格に反映します。

2. 整骨院の譲渡価格相場と評価を左右する要素

整骨院の譲渡価格に一律の相場はありません。時価純資産、修正営業利益、患者数、立地、資格者、設備、院長依存度、将来の改善余地を組み合わせて、買い手が投資回収できる価格を判断します。

公開案件では、譲渡希望額が300万円、780万円、1,800万円などの例が見られます。また、設備譲渡に近い案件では10万円や20万円、希望額0万円とされる案件もあります。これらは希望価格であり、成約価格を示すものではありません。

2-1. 時価純資産とのれんを使う価格算定の仕組み

基本式は「譲渡価格=時価純資産+営業権(のれん)」です。時価純資産は設備、敷金、在庫などの現在価値から、引き継ぐ負債を差し引いて算定します。

のれんは、患者基盤、口コミ、屋号、収益力、運営ノウハウを表します。たとえば時価純資産500万円、修正営業利益300万円、利益の2年分をのれんと仮定すれば、試算は1,100万円です。

ただし、院長が退任すると利益が半減する見込みなら、300万円をそのまま基準にできません。残留期間、引き継ぎ方法、スタッフの定着可能性を調整して評価します。

2-2. 回数券の未消化残高を前受金として精査する

未消化回数券は、代金を受け取ったものの施術提供が残る前受金です。発行枚数、販売額、消化枚数、販売日、有効期限、返金条件を一覧化し、帳簿と実態を照合します。

未消化残高が1,000万円ある場合、買い手は将来の施術義務として価格から控除することがあります。売り手が返金や施術を担う、価格から控除する、買い手が引き継ぐなど、処理方法を契約で定めます。

販売時に全額を売上計上していると、簿外債務として問題になります。譲渡を考え始めた時点で、会計処理と回数券台帳を税理士に確認しておくことが重要です。

2-3. 有資格者の定着率と院長依存度を価格に反映する

柔道整復師、鍼灸師などの資格者数、雇用形態、勤続年数、給与、退職意向を確認します。有資格者が複数在籍し、一定期間の勤務継続を見込める院は、買収後の運営を設計しやすくなります。

一方、患者が院長個人を指名している場合、退任後の売上低下が大きくなります。院長が6か月や1年間残る、週5日から週3日に段階移行するなど、施術と引き継ぎを具体化します。

【文脈】整骨院の譲渡価格が 3. 相談から成約までの事業譲渡手順と必要書類

事業譲渡は、相談、評価、買い手探索、秘密保持契約、トップ面談、基本合意、デューデリジェンス、最終契約、クロージング、引き継ぎの順で進みます。資料の整備状況や賃貸人・従業員との調整により、期間は大きく変わります。

  1. 目的と譲渡範囲を決める

  2. 財務・患者・スタッフ資料を整理する

  3. 匿名概要書で買い手を探す

  4. 秘密保持契約後に詳細資料を開示する

  5. 基本合意とデューデリジェンスを行う

  6. 事業譲渡契約書を締結し、対価を決済する

  7. 患者・スタッフ・請求業務を引き継ぐ

3-1. 売り手がそろえる財務資料と院内運営記録

確定申告書または決算書、試算表、通帳、売上内訳、営業利益、レセプト請求実績、患者数、来院頻度を準備します。回数券台帳、従業員名簿、雇用契約書、賃貸借契約、設備一覧も必要です。

現金売上、広告費、外注費などが帳簿と一致しないと、利益の再現性を説明できません。過去3年分を基本に、月次推移と異常値の理由を整理すると交渉が進みやすくなります。

3-2. 買い手が実施する財務・法務・現場調査

買い手は、売上と利益の再現性、保険請求、返戻、未収金、雇用条件、資格者配置、患者情報、回数券残高を確認します。帳簿だけでなく、予約表、レセプト、通帳、現場ヒアリングを突き合わせます。

訴訟、未払賃金、税金、リース、借入、賃貸人の承諾、行政への届出も確認対象です。開示資料と現場の運営が異なる場合は、価格調整や表明保証、補償条項で対応します。

3-3. 院長が施術者として残る場合の契約設計

院長が残る場合は、在籍期間、勤務日数、報酬、担当患者、教育内容、売上目標、休暇、退職条件を明記します。「一定期間協力する」という表現だけでは、実務上の責任が不明確です。

患者紹介やスタッフ教育も、月ごとの業務計画に落とし込みます。競業避止は地域、期間、対象業務を合理的に定め、職業選択の自由とのバランスを弁護士に確認します。

4. 整骨院の譲渡契約で確認する固有リスク

整骨院の譲渡では、一般的な事業譲渡の論点に加え、療養費請求、資格者、患者情報、回数券、従業員、賃貸借契約が問題になります。譲渡対象と責任の境界を、事業譲渡契約書に具体的に記載します。

表明保証では、財務、税務、雇用、請求、個人情報、許認可、第三者契約について事実を確認します。違反時の補償上限、請求期限、故意・重過失の扱いも、価格と同じくらい重要です。

4-1. 療養費請求とレセプト資料の不備を洗い出す

レセプトの保存状況、請求内容、返戻・再請求、未収金、患者負担分、受領委任の運用を確認します。過去の請求に不備や不正が疑われる場合、譲渡後に問題が発覚する可能性があります。

過去期間の請求責任、資料の保管者、行政や保険者から照会を受けた場合の対応を契約に定めます。買い手は保険収入比率だけでなく、自費施術との区分が明確かも確認します。

4-2. 患者情報と個人情報を安全に引き継ぐ手順

患者名簿、施術記録、予約情報、連絡先、レセプト資料は、利用目的と移転方法を整理して扱います。譲渡前の通知・公表、アクセス権限、暗号化、保管場所、委託先を確認します。

譲渡後は、誰が閲覧できるか、退職者のアカウントをいつ削除するか、不要資料をどう廃棄するかを決めます。紙のカルテを段ボールで渡すだけでは、管理責任の所在が曖昧になります。

4-3. 従業員離職と賃貸借契約を防ぐ承継条件

従業員の雇用条件、未払残業代、社会保険、賞与、退職意向、有資格者の登録状況を確認します。譲渡後の給与・勤務時間・役職を早期に説明し、重要スタッフには個別面談を行います。

物件の賃貸人から承諾を得られるか、賃料改定があるか、原状回復義務を誰が負うかを確認します。設備の所有権、リース契約、看板やウェブサイトの利用権も譲渡対象に含めます。

【文脈】整骨院の事業譲渡で 5. 譲渡後のPMIと専門家選びで失敗を防ぐ

クロージングは終点ではなく、運営を安定させる開始点です。PMIでは、患者離脱、スタッフ離職、請求業務の混乱を抑えながら、買い手の仕組みを段階的に導入します。

初月から大幅な屋号変更や施術方針変更を行うと、患者とスタッフが不安定になります。まず既存運営を維持し、給与支給、予約、レセプト、回数券対応など止められない業務を優先します。

5-1. 引き継ぎ初月に管理する患者・売上・人員

予約導線、施術方針、患者への告知、問い合わせ窓口、売上日報、レセプト請求、回数券残高を毎日確認します。売り手側の引き継ぎ担当と、買い手側の現場責任者を決めておきます。

給与支給日、仕入れ、家賃、委託料も一覧化します。初月は売上最大化より、患者とスタッフが通常どおりサービスを受けられる状態を守ることが優先です。

5-2. 仲介会社と士業の報酬・支援範囲を比較する

着手金、月額報酬、成功報酬、最低報酬、企業価値評価、契約書作成、交渉、クロージング後支援を比較します。税理士は税務、弁護士は契約・紛争、社労士は雇用・社会保険を担当します。

報酬の計算基準が譲渡価格なのか、移転する負債を含む金額なのかで差が生じます。テール条項、実費、DD費用、追加の法務費用も契約前に確認します。

売却価格ではなく、仲介手数料、税金、実費、引き継ぎ条件を差し引いた手取り額で比較するなら、手取りを重視するならM&A PMI AGENTが選択肢になります。初回相談・着手金・中間金が無料で、最低報酬は500万円〜と案内されています。

5-3. 公開案件と譲渡事例から条件を読み解く

公開案件の例

地域

売上規模

譲渡希望額

読み取れる条件

鍼灸整骨院

東京都

0〜1,000万円

300万円

大学近隣の立地

地域密着型整骨院

神奈川県

0〜1,000万円

120万円

顧客リスト・設備付き

黒字接骨院

大阪府

1,000〜3,000万円

780万円

スタッフ引き継ぎあり

接骨院

北海道

0〜1,000万円

310万円

黒字経営

設備譲渡型

京都府

記載なし

20万円

駅徒歩圏・造作設備

公開案件の価格は、院長の残留、資格者の有無、スタッフ継続、賃料、患者基盤、設備状態で変わります。価格だけを比べると、引き継ぎ負担や契約条件を見落とします。

6. 整骨院の事業譲渡でよくある質問 6-1. 赤字や院長依存の整骨院も譲渡できますか

可能性はあります。赤字の原因が家賃、人件費、広告費など一時的なものか、患者減少や請求上の問題など構造的なものかを分けて評価します。

立地、設備、有資格者、口コミ、患者基盤、買い手との相乗効果に再生余地があれば、赤字でも買収対象になります。院長が残る場合は、改善計画と残留条件を示します。

6-2. 未消化回数券は誰が返金や施術を担いますか

主な方法は、未消化残高を譲渡価格から控除する、売り手が返金・施術を担う、買い手が施術を引き継ぐという3つです。残高、対象患者、期限、返金窓口、費用負担を契約書に記載します。

回数券台帳と実際の残高が合わない場合は、表明保証違反や補償問題になり得ます。クロージング時点の残高を共同確認することが必要です。

6-3. 相談からクロージングまで何か月かかりますか

一般的には3か月から1年程度とされます。資料準備、買い手探索、交渉、デューデリジェンス、契約、引き継ぎの各工程に時間がかかるためです。

賃貸人の承諾、従業員説明、複数店舗の調査、回数券や請求資料の整理が必要な案件では長期化します。売却を急ぐ場合でも、最低限の調査を省かないことが重要です。

7. おすすめ商品: 手取りを重視するならM&A PMI AGENTの特徴と選び方

整骨院の事業譲渡では、譲渡価格が高くても、仲介手数料、税金、実費、条件調整を差し引くと手元に残る金額が小さくなることがあります。手取りを重視するならM&A PMI AGENTは、売却価格ではなく「手取り額」で仲介会社や料金体系を比較できるサービスです。

初回相談、着手金、中間金が無料で、最低報酬は500万円〜です。オンライン面談を中心に、他社の手数料、最低報酬、成功報酬の計算方法、テール条項などを、仲介契約前に比較できます。

買い手候補への打診、条件交渉、基本合意、DD、最終契約、クロージングに加え、ビジネスDD、PMI、企業再生、経営改善まで含めた支援を掲げています。売却価格5,000万円の比較例では、最低報酬の差が最大1,500万円になると案内されており、小規模M&Aでは料金体系の確認が手取りを左右します。

ただし、実際の報酬や税金は譲渡スキーム、契約条件、案件規模によって変わります。複数社の見積もりを、譲渡価格ではなく最終的な手取り額で並べることが選定の基本です。

8. まとめ

整骨院の事業譲渡は、後継者不足や経営負担を解決し、患者・スタッフ・設備を次の担い手へつなぐ方法です。事業譲渡と会社譲渡では承継範囲が異なるため、目的と残したい資産を先に決めます。

譲渡価格は、時価純資産とのれんを基礎に、患者基盤、資格者、院長依存度、回数券、請求リスクで調整します。まずは決算書、レセプト、回数券台帳、雇用契約、賃貸借契約、設備一覧を整理してください。

次に、整骨院案件の経験がある仲介会社、弁護士、税理士、社労士へ相談し、契約と手取り額を確認します。早い段階で準備を始めるほど、条件を比較し、患者とスタッフを守る譲渡設計を選びやすくなります。

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編集者の紹介

日下部 興靖

株式会社M&A PMI AGENT

代表取締役 日下部 興靖

上場企業のグループ会社の取締役を4社経験。M&A・PMI業務・経営再建業務などを10年経験し、多くの企業の業績改善を行ったM&A・PMIの専門家。3か月の経営支援にて期首予算比で売上1.8倍、利益5倍などの実績を持つ。

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